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更新日:2023年12月26日

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園長ブログ マダガスカル訪問記 第12回(12月26日)

八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」

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アンダシベ・マンタディア国立公園探訪編 その2(インドリ、シファカ、そしてカメレオン)

インドリは鳴き声が特徴的です。
※興味のある方は、こちらからどうぞ

前回もご紹介したように、ガイドさんは鳴き声を頼りにインドリを探していきます。
我々とは別行動をとっていたガイドさんからの知らせで、急いで川の近くに向かいました。

ガイドさんの指し示す方向を見ると、木の上に大きな白黒の生き物がいました。
インドリです。

インドリはつがいや親子で暮らすそうで、ここにいたのもつがいのインドリでした。
闖入者(ちんにゅうしゃ)を警戒してか、白目ならぬ「黄色目」が印象的な眼でじっとこちらを見つめていますが、我々では到底到達できない高いところにいるためか、どこか余裕を感じさせる佇まいです。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 インドリ
不敵な笑みを浮かべて下界の人間たちを睥睨(へいげい)している(ように見える)インドリ。
どんな姿勢をとっているのか、何度見返してもよくわかりません。

そのうち別の観光客グループも観察に加わり、スマートフォンで写真を撮りながら結構な大声でしゃべり始めました。
これに居心地の悪さを感じたのか、インドリは森の更に奥へ移動していってしまいました。
このあと、別の場所でもインドリの家族に出会い、アンダシベの自然の豊かさとガイドさんの腕の確かさを実感することができました。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 インドリの親子
別の場所で出会ったインドリの親子。
かわいらしい子供でも目力は大人並み。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 インドリ熱視線
熱い視線を送ってくれたインドリ。
八木山動物公園の一行に興味津々?

 

インドリは現生のキツネザル類では最大で、遠くから見てもかなり存在感があります。
その立派な体格に似合わずジャンプ力が強く、木々を軽々と飛びまわって移動します。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 インドリ好物
インドリの好物は、やわらかい若葉。
食事を終えた後は、驚異的なジャンプ力を発揮して森の奥へ。

 

また、インドリの飼育方法を探るために1970年代から80年代にかけて外国人研究者が作った施設の跡にも出くわしました。
残念ながら飼育に失敗し、放棄されたそうです。
いまでもインドリを飼育している動物園は世界のどこにもなく、インドリを観たければマダガスカル東部の森に行くしかありません。
こうした試行錯誤を通じ、今では、インドリを守るには生息域内での保全に取り組む必要があることが広く認識されるようになっています。

ここでは、インドリのほかにもう一つお目当てがありました。
インドリに引けを取らない大型のキツネザルの仲間、ダイアデムシファカです。

「ダイアデム」とは「王冠」の意味で、王冠をかぶったような頭をしているのでこのように名づけられたそうです。
インドリ以上に数が少なく、観るのはとても難しいと聞いていましたが、同行してくれたチンバザザ動植物園の動物部長さんから「最近の保護活動が実って増えてきているので、きっと観られるだろう。」とのお話があり、ひそかに期待しておりました。
インドリを見た後、ガイドさんの導きで別の場所に異動したところ、きれいな白とオレンジ色、そしてグレーの三色のかたまりが目に飛び込んできました。
インドリの白と黒の潔いシンプルさと比べると、そのカラフルさが際立ちます。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ダイアデムシファカ
木陰に潜むダイアデムシファカ

ダイアデムシファカの家族です。子供もいるようです。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ダイアデムシファカ
ダイアデムシファカ。
手足の様子を見ると、左側の枝の陰に子供が隠れている模様。

このシファカを観ることができたのは、関係者の懸命な保護活動の賜物です。
多くの動物たちが危機に瀕しているマダガスカルですが、ダイアデムシファカのように保護が成功することを心から願うとともに、当園も、チンバザザ動植物園と力を合わせて、そのお手伝いをしていきたいと思います。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ダイアデムシファカ背中に子供
こちらは、背中に子供の姿が。
子供の顔が見えないのが残念…。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ダイアデムシファカ 笑顔
「守りたい、この笑顔」(?)。
キツネザル類のコミュニケーションは視覚ではなく嗅覚に頼るため、ニホンザルやチンパンジーのような豊かな表情は見られないものの、なんとも味のある顔。
キツネザル類の個性的な姿を、未来の人々も観ることができますように…。

森の中には、ところどころに歩きやすい石畳の道がありました。
これは、切り出した木材を運搬するために、フランス植民地時代に整備されたものだそうです。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 石畳
しっかりした造りの石畳は、数十年を経ても立派に現役。

確実に収入が得られる木の伐採だけに頼ることなく、はるか昔からアンダシベの森でともに暮らしてきた生き物たちを守りながら豊かになる方法を探すという勇気ある決断をした先人たちのおかげで、我々はいまでもインドリなどの貴重な動物を観ることができます。
経済的に厳しい状況が続き、森林の喪失が続いているとされるマダガスカルですが、アンダシベでの成功例を踏まえ、貴重な生態系を守ることが地元の方々の収入増につながるような仕組みを整えて、しっかりと定着させていくことが必要だと実感しました。

気が付くと出発から2時間を超えていました。
森に入る際に通った川のところまで戻ると、ガイドさんが道の周りの竹藪を指さしました。
竹を主食としているハイイロジェントルキツネザル(バンブーキツネザル)です。
藪の中を素早く動き回り、なかなかレンズに捉えることができませんでしたが、肉眼では、リスと見紛うような小さく愛らしい姿を確認できました。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ハイイロジェントルキツネザル
小さくてすばしこいハイイロジェントルキツネザル。
スピードについて行けず、撮影できたのは後姿のみ。

彼らの見送りを受けて川を渡り、公園の入り口近くまで戻ってきました。

ここで、何かが足りないことにお気づきになったのではないでしょうか。
そうです。この日もカメレオンに出会っていないのです。

後はビジターセンターの展示内容を確認して帰るばかりだったのですが、ビジターセンターの後ろの林に差し掛かったところで、ガイドさんたちに呼び止められました。
最後まで諦めずに探し続け、カメレオンを見つけてくれたのです。
こうして、我々はとうとう、インドリ、シファカ、そしてカメレオンという、アンダシベの三大スターの姿を拝むことができたのでした。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 カメレオン
満を持して八木山動物公園一行の前にお出ましになった野生のカメレオン。
カメレオンの特徴の一つが、体色を変えられること。
最近は、感情を表したり体温を調節したりするために体色を変えるとの説が有力ではあるものの、このカメレオンと木肌の色のマッチングぶりを見ると、保護色で身を隠すと考えられてきたのも無理からぬ気が。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 木を登ろうとするカメレオン
せっかく降りてきた木を登ろうとするカメレオン。
こちらを警戒している様子ではあるものの、動きはゆっくりマイペース。

園長ブログ マダガスカル訪問記12 ビジターセンター
公園の入り口には、きれいな公衆トイレだけではなく立派なビジターセンターも。
フランス語と英語の説明しかないものの、インドリやマダガスカルの自然について予習・復習をするのに好適。

こちらは、ゴリラの成獣ほどの大きさがあったというアルケオインドリ(体重120~160キログラム)を紹介しているコーナー。
訪問記の第6回で紹介したメガラダピス(体重40~80キログラム)よりもさらに大型。
残念ながら、こちらも絶滅種。

 

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