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更新日:2024年6月18日

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園長ブログ 当園の施設長寿命化再整備計画について 第2回(6月18日)

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第2回 リニューアルにおける「ビッグアイディア」と、エリアIの概要

今回は、当園の長寿命化再整備計画のうち、展示のコンセプトや、各エリアの位置づけ・概要についてご紹介します。

当園では、「動物を身近に感じ、楽しみ、学べる杜の都の魅力ある動物園」を基本理念とし、動物との貴重な体験を楽しみながら、動物や環境保全について学んでもらう、さまざまな魅力にあふれる動物園の実現に取り組んでいます。
リニューアルに当たり、この理念を踏まえて展示の在り方について検討した結果、アメリカ合衆国のニューヨーク市ブロンクス動物園で行われている「ビッグアイディア」による展示手法を採用することとしました。

「ビッグアイディア」とは、「展示の魅力や種の保存の必要性などのメッセージ性を高めるため、展示にかかわるすべての人が共有すべき基本的な考え」のことで、これを園全体、各エリア、ゾーン、動物種ごとに設定することで、ストーリー性、メッセージ性を持たせた展示を実現するものです。

まず、園全体の「ビッグアイディア」について、
『環境に適応し長い年月をかけて多様な進化を遂げたすばらしい生物同士のかかわりによって作られた生態系が、人間の活動により危機にさらされているなかで、我が国をはじめとするあらゆる地域における生態系の保全について、我々にできることを考えていく』
としました。

そして、各エリアの「ビッグアイディア」については、現在のアフリカ園を含むエリアIでは、アフリカを舞台とした「絶滅危惧」の状況と生息環境の保全、当園の中央部に当たるエリアIIでは、生物の「多様性」の大切さ、園内で一番東側にあるエリアIIIでは、日本の身近な自然を舞台とした「共生」としています。

次に、これらを踏まえた各エリアの展示の特徴やコンセプトについてご紹介します。

3つのエリアとそれぞれのビッグアイディア
3つのエリアとそれぞれの「ビッグアイディア」

エリアIでは、現在園内に分散しているアフリカ地域の動物を集約し、既存のアフリカ園も活かして、アフリカの自然の中で野生動物を観察しているような雰囲気を味わえる展示とします。
アフリカに生息する動物種の多くは絶滅の危機に瀕しています。
当園の展示を通して、そうした動物に興味を持ち、その生態や現状、保全について知っていただくことを目指します。
このエリアには、以下の3つのゾーンを設けます。

1:サバンナ
東園にある猛獣舎からライオンを移動させ、ライオンが本来は群れを形成し社会性のある動物であることが伝わるように、数頭の群れで飼育展示します。
また、実際のアフリカのサバンナと同様に、肉食獣であるライオンと草食獣(アフリカゾウ・キリン・シマウマ・ダチョウ)とが同じ空間にいる光景が観られるように、同一平面上で観察できるつくりとします。

2:アフリカの森
サバンナゾーンを抜けると、現在、は虫類館がある辺りに、アフリカのジャングルが出現します。
この森の主役は、現在は東園で飼育しているチンパンジーです。
ここでは、樹上で過ごすことが多いチンパンジーの生態や生息環境を踏まえた生態環境展示を導入します。
樹木をふんだんに取り入れた広い空間の中で群れによる飼育展示を行い、チンパンジーの身体能力の高さやコミュニケーションの様子などについて観察できるようにします。
また、同様に樹上生活が基本であるアビシニアコロブスの展示場も、こちらに移します。

3:総合獣舎
いまカバやサイの屋内展示場がある場所から、は虫類館のある場所にかけて、総合獣舎を設けます。
ここでは、これまで園内に分散していたアフリカ地域の動物のうち、カバ・サイ・シマウマ・ダチョウ・キツネザル類・アフリカ原産のカメ・チンパンジーの飼育施設を集約するとともに、一部の動物については屋内で観覧できるようにします。
総合獣舎は2階建てで、2階の観覧デッキからはサバンナを一望できるようになります。
また、2階には、以前このブログ(マダカスカル訪問記 第17回【最終回】)でも紹介した「マダガスカルゾーン」を設けるとともに、休憩・飲食用のスペースの充実を図ります。

全体配置図

 

完成イメージ図
エリアIの全体配置図(総合獣舎内部は、1階の様子を表示)と、施設の完成イメージ図。は虫類館のある場所はアフリカの森に、ガン生態園のある場所はライオン舎に生まれ変わります。

屋外の施設が多い動物園では、雨の日や、暑さ・寒さが厳しいときなどには、入園者数が少なくなる傾向があります。
今回のリニューアルでは、屋内展示場の充実などにより、天候や季節を気にせずに、じっくりと動物を観察できる動物園となることを目指します。

エリアIでは、次のような工夫をする予定です。

  1. ライオンの屋外展示場のビューポイントには庇を付け、アフリカの森のチンパンジーの屋外展示場の周りに設けるビューポイント付近はトンネル状にして、雨や雪の日でも傘をささずに動物を観られるようにします。
  2. 総合獣舎の一部を1・2階吹き抜けとし、生態環境展示を取り入れたチンパンジーの屋内展示場を設け、屋内でもチンパンジーの様々な活動を間近に観られるようにします。

チンパンジーの屋外展示場と屋内展示場のイメージ図
チンパンジーの屋外展示場と屋内展示場のイメージ図

チンパンジーの屋内展示場内部のイメージ図
チンパンジーの屋内展示場内部のイメージ図

3. 総合獣舎の1階にサイとカバの屋内展示場を設け、その迫力ある動きや生態を間近に観られるようにします。

サイの屋内展示のイメージ図
サイの屋内展示のイメージ図(よこはま動物園ズーラシアの屋内展示場の様子です。)

カバの屋内展示のイメージ図
カバの屋内展示のイメージ図(札幌市円山動物園の屋内展示場の様子です。)

今年度は、は虫類館の取壊しが始まるなど、長年親しまれてきた景色が変わり始める年となります。
ぜひ何度も足を運んで、たくさんの思い出を残していただきたいと思います。

総合獣舎は、令和10年度の早い時期でのお披露目を、ライオン舎も含めたエリアI全体の完成は、同じく令和10年度中を予定しています。
ご期待ください!

少し長くなってしまいましたので、エリアII・IIIのご紹介は次回といたします。

 

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