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更新日:2016年9月20日

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発表内容以外の質疑応答の概要

(1)緑ケ丘3丁目の宅地復旧が宮城県と仙台市の事業の間になって復旧が遅れているという新聞報道があったが、市長の所感や今後の対応について伺う

この件については、先般の第3回定例会9月議会の中でもお尋ねがあったところです。私どもの整理としては、先の宮城県沖地震の時に大きな被害を受け、国の「地すべり防止区域」指定のもと基礎的な土台を固める工事を県が行っています。基本的には県が行ったことについては、不具合が出た時は県が担当としてやるのが一つございます。

このことについては、県と市の間で異論はありません。今回それに加えてそれぞれ個別の宅地にいろいろな被害がありましたが、それぞれの個別の宅地被害について、仙台市の独自支援制度などを使って住民の方が行って、仙台市がそれを支援することも決まっています。

では何が問題になったかといいますと、今回の震災の後で、全体の地域の土を止める作業では十分でなかったので、新たに何本か杭を打つことをするという説明を県の方で行っています。ただ、地域住民の方は本当に県がする工事だけで大丈夫だろうかと不安を持たれていて県と話をしたが、県は大丈夫だというお話でそれ以上という話はない状況でした。しかし住民の方は近隣地域で滑動崩落事業を使って事業を展開していますので、自分たちの所にもその工事が必要なのではないかという考えを持たれたということです。そういう中で、議会での質問があったわけです。

我々としては、住民の方々に不安があるわけですので、それについては、県と市の間であるとかないとかいうのではなく、きっちりとした数値やその土地の調査をもとに学術的な知見も入れて判断をしていくという客観性が必要ということで、県に持っている調査資料の数値などをいただきたいと申し上げました。議会の後にそれを頂戴しまして、私どもで一定の分析をしました。あわせて、私どもの仙台市宅地保全審議会の複数の委員の先生に意見を伺ったところ、対策的にやっていることは確かだが、今後もう一度同規模の地震が来た時のことを考えるとやや不安要素はあるという意見をいただいたのが先月までのところです。

その後、仙台市宅地保全審議会の委員の先生の判断もあるということも付け加えて、県の事務方にお伝えしているところです。

いずれにしても、住民の方が置き去りになるのは一番よくないことです。事務方でそういうお話をすると同時に、明日県内の市長と知事との懇談会がありますので、私としては、知事もご存じとは思いますが、この話の概要を改めて私から申し上げて県の積極的な対応をお願いしたいと思います。そこで県の方向性や見解が示されるのではないかと思っています。

(2)緑ケ丘3丁目の復旧は県の行う工事だけで十分なのか、それともさらに宅地に対する工事が必要なのか見解を伺う

基本的には、工事が必要だという認識だと受け止めています。ただ、これは仙台市の仙台市宅地保全審議会の先生方に資料を提示して確認している段階のことです。県としても事業主体ですから、それを受け止めて県として判断するステップが必要だろうと思います。

(3)県の認識では、承認さえすれば仙台市が工事を行うことは可能なようだが、仙台市が工事を実施する考えはあるか

一義的には、今まで手がけてこられた県が、手がけられた延長としての安全の確保の工事をされるのがベターではないかと思っています。県がそれを仙台市がやるべきであるとおっしゃるのであれば、なぜそう考えるのかをお聞きした上で、その理由がしかるべきものであれば、私どもでそれを実施することもあり得ると思います。

(4)緑ケ丘3丁目の復旧の追加工事の有無は、いつまでに結論を出すのか

基本的には、いつということは仙台市から現時点では申し上げにくいです。というのは、私どもの調査の結果とその判断の与件について県にお返しをしている段階で、ボールをお持ちの県がどのようにお考えになるかにかかってきますので、私から時期を申し上げられないです。

(5)緑ケ丘3丁目の住民の一番の要望は第三者による安全性の分析結果と思うが、もう少し早い段階で宅地保全審議会の結果を示せなかったのか

この間、地元の説明などをさせていただく中で、地元の方の宅地全体が動いているのではないかという懸念に対しては、県がずっと説明をしてきました。ただ、その説明が地元の方にとっては納得できない部分がある話だったので、仙台市が数字の評価、どう考えるべきかという知見に向けてもう一歩専門的な認識も含めて状況の整理をさせていただいたことになります。

大変申し訳ないのですが、この間一定の時間はかかっています。ただ、住民の方もおっしゃるとおり、住民の方にとっては県と市のやりとりではなく、あくまでも宅地が安全なものになって、そこに再建できることが究極の大切な願いであることは間違いありません。私どもとしても今回一歩踏み込んだ対応をさせていただいたのは、このまま県のおっしゃることと住民の皆さんの間のズレを放置したのでは、住宅再建がスムーズにいかないと考えてのことです。

我々としては一日も早く、明日の知事との話もありますので、県の見解をいただいて我々としてできることを一緒にやっていきたいと思います。今後とも住民の皆さまへの説明などは県と市と共同でやっていくことも確認していますので、事業の進捗のスピード化に向けて仙台市としても努力したいと思います。

(6)民主党の安住幹事長代行が4日の講演で、「県市長会長失格だ」という発言をしたことについて、どう受け止めているか

私も記事は拝見していますが、私および私が直接話を聞ける範囲の人が聞いたわけではありませんので、幹事長代行の真意やニュアンスはつかみかねています。ひょっとすると誤解や錯覚などがあるのではないかという気がしています。

ご承知のとおり、この独自支援の問題は、仙台市のみならず沿岸被災自治体にとって、特に住民の方にとって、防災集団移転事業が一定の地域を確定してやるわけですが、現実の津波被害のどこかに線引きがあったわけではなく、これからどうしていくかという時に、大変大きな課題を抱えているのは、沿岸地域すべてがそうです。そうした中でどのような支援が可能なのか、それぞれ自治体が知恵を絞る中で、仙台市も一定の独自支援の考え方を出しましたが、いろいろな自治体がそれぞれに独自支援の案を今出しているところです。

それらを出している自治体も、石巻市も、気仙沼市も含めて、宮城県知事も一緒になって、この間、首長だけでなく議会も含めて、国としてこの独自支援の部分については特段の支援をする枠組みを作って欲しいと、ずっとお願いしてきたところです。そういう経過からしますと、仙台市が財政規模が大きいからやれるとか、やれないとかという論理の中で進んできたものではないということは、ゆっくりお話を聞いていただけると幹事長代行もお分かりいただけるのではないかと思います。何かその辺には錯覚か、勘違いかがあるような気がします。

(7)今後の対応として、安住幹事長代行に会って話をするようなことは考えているのか

私自身として、今そういう考えはありません。

ただ、幹事長代行の記事の最後のところにありましたが、国としても独自支援の部分についてなんらかの方策を使って、これは基金のことではないかと思うのですが、支援する方向で考えたいというような話があったようです。我々がぜひ確認したいのは、その最後の部分が今後どうなるのかということです。ずっと今年度の初めから重点課題としてやってきておりますので。

平野復興大臣が、先般、IMF・世界銀行年次総会の特別会合で仙台においでになったときに、10分ほど時間をいただいて、改めてこの独自支援のことも含めて今後の対応という趣旨でお話しましたけれども、そのときにも、基金のような形で考えてみたいということを平野大臣からもお聞きしておりました。

たぶん政権の中でそういう話が進んでいるのだと思うのですが、やはり追加の財源を基金に投入してもらわないと難しい部分があります。補正予算になるのか、どういう予算の組み立てになるのか、いろいろ知恵を出していただきながら、とにかく我々としては一日も早くそれを実現していただきたいという気持ちの方が大きいです。

(8)安住幹事長代行が財務大臣だった時に、直接会って要望したことはあるのか

直接お目にかかったことはなかったです。

(9)安住幹事長代行が財務大臣だった頃に、直接要望する手もあったのではないか

復興事業に関しては国の復興庁が現地仙台にありますし、復興大臣という所管大臣がいらっしゃいますので、やはり復興庁、復興大臣を通して、自治体の声をしっかりと伝えていって、復興大臣が内閣の中で、しっかりと調整をされるというのが、本来あるべき筋です。お願いして財務大臣に会うということも可能だったかもしれませんが、あまりそのようなイレギュラーな手法を使うのもどうかと思いますので、私としては正攻法で臨んだということです。

(10)復興庁ができあがる前に財務大臣にお願いする手もあったのではないか

どうでしょうか。さまざまなお話を聞かれていると思いますが、財務大臣も石巻の出身でいらっしゃって、地元のことをよくご存じであろうと思いますので、ひょっとすると何もかもご存じでおっしゃっているのかという気もします。

(11)国の中枢にいる安住氏自身が動く方が早い話と思うが、その矛先が仙台市に向けられていることについてどう思うか

その辺は腑に落ちませんので、誤解か錯覚か、何かがあるのではないかと思います。

(12)仙台市としてさらに市独自支援を行うことは考えていないのか

仙台市として新たな独自支援ということは、今の時点で考えはありません。

(13)仙台市が独自支援を先んじて打ち出すことによって、他自治体が追随してきたり、国が支援策を講じたりすることを誘導するという戦略は、変わってきているのか

仙台市が、新しい制度を求めていく、もしくはさらなる国の追加の支援を求めていくために、その突破口になるという意思は最初から変わっていません。

このことについてずっといろいろな議論がある中で、直接的に復興交付金事業の中に入れてほしいという話と、効果促進事業に入れてほしいという話を6、7月くらいまで仙台市が申し上げてまいりましたが、新たな財産の形成に寄与するような制度は国としては認められないというご意見を直接こちらにもいただいておりました。

また、これが単に首長としての私のみの考えではなく、より地域の住民の皆様と接している議会としても党派を超えてこれを求めるということで、仙台市議会もいろいろな活動をしていただいたという経緯がありました。

そのあと、引き続き、各沿岸自治体で同様の課題を抱えている皆さんが、連合してこの話に取り組みましょうという中で、では知事にもご支援をお願いしようということでやってまいりました。

その意味では、国のガードが固い問題に対して、さまざまな手法をあの手この手と使いながら、我々としていろいろな場を工夫しながら発信をし、一貫して取り組んできたということは変わらないと思います。

国の大原則があって、国の直接の事業としてはなかなか取り組めない中で、事業を立ち上げていく上で、阪神淡路大震災でも基金というのは、他の事業でカバーできないものをやっていく時の大きな財源になったということはあります。今ようやく、その基金を使ってはどうかというところまでこぎつけたのは、最初のにべもなく断られていた頃から見れば、トンネルの先の明かりが若干見えてきたのかなと思っています。ただ、まだトンネルが開通したというのには程遠いので、我々はそのトンネルが開通することを願って、なお一層努力をしないといけないという状況です。

(14)最初から他の自治体と歩調を合わせて、独自支援策を打ち出していくという考えはなかったのか

この件については他の自治体と情報交換を、常にいろいろな形でやっています。

ただ、一緒にやれるようになるまで仙台市が実施しないということが、果していいのかどうかとなると、私はそれは問題だと思います。

それですと国に対して、こういう内容で、こういう制度で、これだけの支援ができるのではないのですかという投げかけだけで、実施しないで、実施するためのお金を確保してくださいというだけになってしまいます。現に踏み出していない事業に対して、それはできれば結構ですねと国は言うでしょうが、本気になっていただけるかどうか、どんなものかと思います。

そういう形で意思を統一して進めていって、なるほどそれは必要ですねとご理解をいただいてスタートできるのであれば、それは素晴らしいことで、そうなれば私も復興庁は100点満点以上の1,000点満点だと思いますけれども、なかなかそうはならなかったという現実があります。

(15)まずは仙台市がやってみるという考えだったのか

やるということは、一種の賭けですから、仙台市の独自支援が仮に独り善がりのものであれば、最後まで国からのお金がつかないとか、関係自治体からも賛同を得られないとか、運動として孤立するというリスクがあります。そういう中で、現実にはすべての沿岸部の自治体に、自分たちも仙台市がやるような独自支援をやっていきたいと思っていただけました。それぞれの自治体に課題がありますが、やりたいという気持ちは十分あるという認識をいただいたことは、大きなご支援であり、一歩であったと思います。

我々としても左うちわでこの独自支援をやるわけではなく、単独事業となった暁には仙台市民がその事業費分を税として担っていくという覚悟の下に、議会でも決めていただいた案です。そういうことを踏まえて、そのできない、難しいと言っている方々に対して進んでいくということだと思います。

(16)昨日、指定都市市長会で首長と国会議員の兼職を可能とする仕組みの検討について提案がされたが、市長の所見を伺う

昨日もかなり議論がありました。さまざまな意見が出まして、私としては今回の指定都市市長会の成案にまとまった部分について、つまり参議院改革等を含めて検討していく中で、地方自治体の首長が国会に議席を持つことも制度として検討していく価値はあるのではないかと考えて、その修正案に賛成した立場です。

(17)首長が国会に議席を持つ必要性は何か

今回の震災の対応や、いろいろ議論のある国と地方の業務の分担と、税の配分の問題という過去の日本の地方自治上半世紀にわたる大課題などがあります。国の方で枠組みを決め、それを地方が受けざるを得ない状況があります。我々はこれまで地方六団体とか、今は国と地方の協議の場もできましたが、地方の意見を踏まえた対応をしていただくように国にお願いしてきました。それは一つのお願いですので、果たしてそれでいいのかという、今の時点で各首長の念頭にあるものが昨日の提案の形になったのだろうと思います。直接国会の場で我々も地方の実態を踏まえて、論陣を張るような形がより具体に地方にとっての望ましい姿を実現していく一歩になるのではないかという気持ちがそこにありましたので、昨日のような案になったと思います。

ただ、地方自治体の長のまま国会議員に立候補することを認める公職選挙法の改正は、その前とその後がない段階でそれだけを求めるというのは、何かあまりにも唐突で、論理的にみてもいかがかということでそこには反対が多かったと思います。

(18)仮に兼職が可能となった場合、市長自身が国会議員を目指すことはあるのか

国会議員を目指すというか、国政の場で発言をするチャンスがあれば、それは地方自治の進展にとって国政の枠組みというのは大変大きいですから、そういうことも自分の仕事としてわきまえて、力を投入することは望ましいことだと思います。ただ、そのためには昨日の会議でもずいぶん出ましたが、そもそも時間的にそれが可能になる制度設計をしなくてはいけません。今のままの政令指定都市の首長の仕事を前提として国会に行くことは、ほぼ不可能だと広島市長や何人かの市長からも出たとおりです。そうなった暁には、もう少し業務を整理する前提が必要だと思います。

(19)先月末に原子力規制委員会の原子力災害対策指針が示されたが、市長の所感を伺う

国の勧告があった場合、30キロを避難圏として示されたことは、30キロまでを避難エリアとして広げたということでしょうから、一つの見解だろうとは思います。今回の震災の状況を見ても、50キロ圏までが避難したわけではありませんので、そのことについては一定の理解を30キロという範囲でされたと受け止めています。

一方で、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)などいろいろな情報を出してくださることについては、まだ検討途上ということだと思いますが、情報についてはありすぎることで弊害あるということではなくて、今回無さ過ぎたが故に大変な課題が生じたわけです。情報は迷うことなく全ての自治体に同時に出していただくのを原則にSPEEDIの対応を考えていただきたい。また今回地形的影響を考慮しない気候的な面からの予測も出されましたが、ちょっと予測が違っていたなど試行錯誤があって、違っていた自治体が出たりしたことは大変遺憾だとは思いますが、しかし錯誤をあげつらうよりは、積極的に情報を発信することが何よりも大事だと思いますので、情報の発信について積極的に取り組む結論が前向きに出されることを期待しています。

(20)仮に女川原発で事故があった場合、情報が大量に出てくることで混乱が生じ、仙台市に避難する方々が大量にでてくると考えられるがいかがか

情報を出すことによって混乱するのは確かにあると思います。しかし、今回の教訓としては情報を出すことによる弊害と情報を出さなかったことによる実害を見れば、情報が出されなかったことによって逃げることを失した住民の皆さんが多く発生し、国がいくら情報を制限しても、国が情報を制限した分、完璧な住民の移動を保証できるのかというと、そうではないことが今回はっきりしました。国がバスや施設を準備することは、ごく限定的なものを除けばなかったわけですから、だとすれば基本的に住民の受け入れも送り出しも責任を持って行わなくてはならない基礎自治体に情報を全て与えて、その中で可能な限り適切な判断が現地、現場で行われることを国として信頼するのが一番だと思います。

仙台市長 奥山 恵美子

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