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更新日:2016年9月20日

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発表内容以外の質疑応答の概要

(1)今回の知事選の争点をどのように見ているか

各候補者のお考えは、ざっと拝見させていただきましたが、やはり経済政策ではないかと思います。企業や大型プロジェクトの誘致や第一次産業の重視、新たな環境分野の創造など、今後の宮城県における経済戦略をどうするかというところが、各候補者で一番違いのある争点ではないかと思っています。

(2)将来の仙台市を含めた宮城県の経済政策において、どのような論戦を期待しているか

一つは宮城県の強みと弱みをどのように見るかということだと思います。仙台市で言えば製造業が弱いということが数値的にも明らかなので、弱い部分を強くするという考えでいくか、また充実しているサービス業をさらに強くしていくかという点だと思います。

仙台市長としての私がサービス業を考えるのと異なり、第一次産業中心の街づくりをしている地域は県内にたくさんありますので、私の考えと県土全体のご意見とは違う部分があるかもしれません。

(3)福祉や子育て支援などの問題もあるが、経済政策が議論の中心になっていることをどう思うか

県民生活で言えばどうしても雇用や所得の問題が厳しいので、経済面が争点になっているのだろうと思いますが、生活の基盤としてはこれからの子育て支援や高齢者介護など普遍的な問題についても、もう少しご議論を深めていただければという気はします。

(4)市長は特定の候補者を支持しないというスタンスだが、その理由は

これまでもお答えしてきましたが、私が地方自治における仙台市政を預かる中においては、各政党のお考えに対してはある意味、「是々非々」でということであり、一党の政策が正しいということでは地方自治の政策は進まないのではないかということです。市長選では「市民党」という形での政策の立て方をしていきたいとお願いしましたし、選挙の組み立てもそのようにやらせていただきました。

こうした考えに立てば県も一つの自治体であり、政党の枠組みだけでは収まりきれない要素があると思います。今回、いろいろな方がお立ちですが、私の基本としては「是々非々」「市民党」という考えであり、それを県政にも敷衍(ふえん)して、お尋ねのスタンスで貫かせていただきたいと思います。

(5)県内の他の首長は特定の候補者を推しているが、その理由をどう考えているか

それはそれぞれの首長さんのお考えなので、私が予断を持ってこうであろうと推し量ることはできませんが、やはりそれぞれの首長さんが進めようとされる市や町の行政が、推される候補者による県政の中で、より発展されるとお考えになったからであろうとしか申し上げられません。

(6)一般的に県と政令指定都市の連携はスムーズではないと思うが、宮城県と仙台市の関係をどう考えているか

仙台市と宮城県の連携は、とても大切なことだと思います。県土の真ん中に仙台市という行政区域が入り、ある意味県土を分断しているところもありますので、例えば物流に必要な道路一つとっても、仙台市と県の間の接続が悪くては何にもなりません。

全体の均衡ある発展のためには連携が必要で、特に仙台市は宮城県の半分近くの人口集積を持っていますので、そこにある都市力というものが県全体のために生かされるためにも、やはり連携というものをきちんと踏まえなければならないと思います。

特に財政的に厳しい中で、二重投資になったりしないような県民の税と市民の税が有効に使われるように十分配慮しなければならないと思います。

(7)連携をさらに進めていくための課題として考えていることはあるか

総論で言えば今申し上げたように、うまく機能することでしか力を出さない道路の問題や例えば高校教育は宮城県で総括していますのでこうした教育面の問題など、地味なようですがきちんと話し合いをしていかないと子供たちのためにならない部分が出て来かねません。

(8)宮城県と話し合いを続けていくということか

そうです。やはり個別のことを丁寧に詰めていくということが大切だと思います。

(9)先日、官房長官が子ども手当の財源について地方にも負担してもらうこともあり得るとの考えを示したが、どのように考えているか

まず、子ども手当は民主党のマニュフェストにあったものなので、実現を急がれているわけですが、手当としてやる形によりどのような効果を狙っておられるのか、総額は相当大きなものだけに、行う場合の政策目標についてもうちょっと深い議論があってもいいのではないかと感じています。

地方にも財源を負担してもらいたいという話は、地方としては「寝耳に水」という気がします。地方に負担を求められることも、子ども手当に限らず政策として出てくるのかもしれませんが、その場合、原理原則として今も我々地方ではやらなければならない業務について自主財源が少ないということをずっと前から言ってきましたし、特にこの3、4年はことあるごとに財源について国に対し言い立ててきています。

財源の再配分、見直しは、総論の中では了解いただいている気がするものの、各論においては一向に出てこない中で、個別の地方の負担だけが増えてくるというのは、ちょっと話の順番としてはいかがなものかと思います。

また、政令指定都市には大都市特有の行政課題もあります。それらも踏まえながら新政権に対して、いろいろな新しい施策を実施するに当たっては、地方に相談なしに負担だけが降ってくることのないようにという要望を昨日、指定都市市長会として出しています。

指定都市を代表して札幌市と大阪市の市長さんが、総務省や財務省、内閣府に対して、今後いろいろな政策を実施するに当たっては、くれぐれも地方に配慮した上でやってほしいと要望しています。

詳しくお知らせしますと「新たな政策の実施にあたっては地方の財政的な負担や事務手続き上の過大な負担が生じないよう、国の責任において措置すること」ということで、子ども手当の創設や高校授業料の実質無償化、生活保護に関する母子加算の復活、低所得者に対する新型インフルエンザワクチン接種に関する負担軽減などについて、今申し上げたとおり要望しており、これには仙台市も賛同しています。

(10)市長自身としての考えは、いかがか

突発的にその時々で話が追加されるようでは困るということです。やはりきちんと全体を話し合う場が、早急にできることが必要だと思います。

(11)市立学校の教員の逮捕が相次ぐという事態をどのように考えているか

この1カ月の間に現職教員の逮捕が2件続いたということで、教育長をやっていた私としても、本当に由々しいことであると考えています。保護者の方々、何よりも子供たちの先生に対する信頼が損ねられると思いますので、大変な危機感を持ってこの逮捕という事件を聞いています。

特に子供たちを指導するというのが教員の立場ですし、今回の窃盗事件の詳細や背景は警察の捜査を待たなければ分かりませんが、「騙すなかれ、盗むなかれ」というのは、教えの基本です。それに反するような事案が起こったということは、私としても本当に残念でなりません。

具体的には今後、教育委員会で各校長と話し合って対策を立てていくと思いますが、たくさんの教員がいる中で、管理に走るということがすべてではありません。ただ、管理者として校長が学校内でどのような授業活動をやっているかと把握するのはもちろんのこと、そうした教員のモラル面での資質ということについても必要なのではないかと思います。

教員は自分自身が人としてのモラルを体現することによって、子供にそれを教えていくという、あらゆる他の職業ではあり得ないところがありますので、校長や教員相互の中で人間的な面での支え合いをきちんとしていくことについて、もう一歩踏み込んで考えていかなければならないという問題提起だと考えています。

(12)「人間的な支え合い」とは、具体的にはどのようなことか

どういった背景で窃盗に走ったのか分かりませんが、職場の人間関係の中でも教員同士で信頼し合うことが必要です。私が教育長のときにも感じていたことは、教師というのは集団としてその学校の子供たち全体を引っ張っていくものではないかということです。

一人の教師が担任としてクラスを指導する面はもちろんありますが、教師は集団として能力を高め合い、教師としての自分のありようを磨いていくものだと思います。これは聖人君子になれとか、教師だから嘘をついてはいけないなどと言っているのではありません。

教師でも普通の人間としての弱さなども持っているのは当然ですが、それを認め合う教員仲間があり、その信頼感や支え合いがあればいいのではないでしょうか。立派であることが教師の大前提ではありません。ただ、普通の大人であって弱さをさらけ出しながらもモラル的にはきちんと一線を保持しながら教師として子供と向き合っていく必要があり、ある種教師としての難しさはあるものの、普通の大人がやっているスタンスを三十何年間の教員生活の中で保持していかなければなりません。

教師でも人間ですので家庭や個人的なつまずきなど生涯で起こることはあるもので、それを乗り越えていけるのは同僚としての支え合いではないかと以前から思っていましたので、そのあたりの力をもう一度見直し、学校内で高めていく必要があるのではと思っています。

昔は教員仲間として自分たちの学校をどうして行くかということを、喧々諤々話あったことがあったと思いますが、今では各自が車通勤ですし、仕事も忙しく、子供たちには一生懸命教えているにしても、それが終わればすぐに帰ってしまうという状況です。教員同士で話し合ったり、また校長と一般教員が話し合ったりということがなかなかできにくくなってきているかもしれません。

しかしながら、そうした職場の人間同士、大人同士の話し合いがないと長い教員生活で人間として成熟しつつ、子供を指導していくというのは難しいのではと思ったこともあります。

いろいろと自分の経験を思い返しながら考えてみましたが、改めてこの問題をどう受け止め考えていったらいいのか、私自身の中で深めていきたいと思います。

(13)県内の特別支援学校の教室不足が深刻な問題になっており、宮城県では仙台市に協力を求めているが、どのように対応するのか

特別支援学校を希望される方が大変増えてきて、現在手狭になっていることは教育委員会からも聞いていますし、ここ2、3年でも増えていくだろうと承知しています。市議会でもお答えしたように、特別支援学校の設置は基本的には県のお仕事であるということを前提に一つ申し上げなければならないと思っています。

確か宮城県では検討委員会を立ち上げられて、この間かなり精力的にご議論いただき、特別支援学校2校程度の増設というご提言がなされたと承知していますし、そのようなことが必要であると思います。

ただ、そうは言っても学校を一つ造るのには、大変年数もかかりますし、県の財政状況もあります。具体的に村井知事が県議会でおっしゃったという空き教室の利用が即座になるかどうかは分かりません。この場合、空き教室の利用といっても一つや二つではなく、かなりの数の空き教室となると仙台市内でもそう簡単ではないと思いますが、市教育委員会には県の仕事であるということではなく、仙台市として何ができるかということを考えるように伝えています。

いずれ近々にその検討内容を聞けると思いますので、それらを踏まえながら、いろいろな形で困難を抱えている子供たちがいますので、仙台市としてできることがあればやっていきたいとは思います。ただ原則を変えるものではありません。

(14)長崎市と広島市がオリンピック誘致に手を上げたことについてどう思うか

広島と長崎というのは、世界で唯一の被爆都市として大きな歴史と核なき世界の構築という使命を持っていらっしゃる都市であると思っていますので、この二市が核なき世界を目指すという志を世界に訴える方法の一つとして、オリンピック誘致を打ち出されたというのは都市の性格としては分かるという気持ちはあります。

なかなか実現のためのハードルは高いのかなとは思いますが、それを踏まえて二人の首長さんがそうしたメッセージを世界に発信したいという気持ちは理解するものです。

(15)仙台市が仮にこのような国際スポーツイベントを誘致するとしたら財政面などどのような課題があるか

仙台市で開催していない大きな大会というのは、オリンピック以前にユニバーシアードなどたくさんありますが、いずれそのようなものも目標にいれてみたいとは個人的には思います。しかしながら財政的な問題を考えますと、現在の仙台市では少子高齢化の中でいろいろな対策を優先的にしていかなければなりませんので、国際的なスポーツ大会にそうした対策を飛び越える優先度はないと思います。私の今の判断では将来的な課題というお答えにならざるを得ないと思っています。

(16)まもなく市長就任2カ月だが、これまでの感想は

あっという間だったというのが正直な感想です。一日一日にいろいろな日程がありまして、ある意味長いような気がしますが、一週間や十日というまとまりで振り返ってみると、あっという間に過ぎたという不思議な時間の感覚を感じました。

もう一つは、就任前には想定していなかったケヤキの倒木や泉区の住宅地で道路が陥没するなど、人間には生活習慣病があるように仙台の街も戦後50年間で発展し、インフラを築いてきた中で、メンテナンスが改めて課題になってきているのかと実感した2カ月でした。

(17)就任前に想定していたこととの違いは

日程が山のように押しかけてくるということが職員時代とは一番違うところです。もう一つは、数えてはいませんがこの間70ほどのいろいろなイベントに出ていまして、いろいろな方によく声をかけてもらったということです。これは非常にうれしいものだと思いました。

がんばってください、というのもありましたし、こうしたボランティアをやっているので関心を持ってくださいなど、声をかけてくれる内容はさまざまですが、話しかける相手として私を選んでくれて、わざわざその方が歩みを止めたり、歩み寄ってきて声をかけてくれて、それを期待という形で表明してくれました。それは大変ありがたいことでしたし励まされました。

(18)副市長などの人事も決まったが、人選のポイントは何か

稲葉副市長はこれまでに総務局や企画局、財政局、直前ではガス事業管理者も経験されていました。私の場合、総務はほとんど経験がありませんし、財政も企画も経験がありません。このようは私を補佐していただくには、私のやってこなかったことをやってきたという得難い経験の方ということでお願いしました。

大嶋ガス事業管理者は、交通事業を経験されていますし、総務局長として人事や労務の面も経験されましたので、それらを生かしていただいてガス事業民営化の今後の道筋もお考えいただければとお願いしました。

藤本総務局長は、総務の経験の深い方で、人事や労務を経験したことのない私にとっては得難いサポートをしていただける方と思っています。

(19)新体制で来年度予算を編成していくわけだが、その方向性は

市長選ではNPOの方々が力を発揮できるように考えていきたいことや若い方々が元気になって仙台の街がこれからも若者の街であり続けられるような応援をしたいなどいくつかのことを申し上げてきました。

また広域連携によって東北全体に役に立つ仙台を目指したいとも申し上げました。それらについて必要なものは予算化するとか、もっと庁内で議論を深める必要があるものは、それらの議論をスタートさせるなどといったことをこれから取り組んでいきたいと思います。

(20)今回の副市長人事も含めての、予算編成の方向性は

私がやりたいことをやっていくために組織をどう作っていくかとか、そうはいっても新しい課をそう簡単に作れる時代でもありませんので、プロジェクトチームでやっていくかなどいろいろなやり方があると思います。

場合によってはこれまであまり仙台市でやってこなかったプロジェクト方式というやり方も取り入れてみたいと思いますので、そのことは人事や労務の中で少し揉んでもらいたいと思います。ただ、そうしたものができることによって既存の組織と水と油では困りますので、これまでの組織をちょっと踏み越える形も持ちながら、組織でやるものはきちんとやるような遊軍的な面白さを出せるような事業も、組み立てていければ楽しいのではと思います。

(21)今回は兼務辞令を出すなどして来年4月の定期人事異動にきちんとした形にするという考えはなかったのか

来年度も組織の改正をそれなりに視野に入れていると市議会でもお答えしましたし、それらを踏まえると来年4月に退職される方もいらっしゃいますので、いわゆる皆様がおっしゃる意味での奥山体制というものを考えると今回が第一ステップ、来年4月が第二ステップということで、今が完成形とはいかないと思います。

(22)今回の人事は来年度に向けての布石ということか

そうです。今回は年度途中ですので、あまりドラスティックなことはできません。

平成21年10月20日 仙台市長 奥山 恵美子

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