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更新日:2023年10月4日

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調査研究報告要旨(平成22年度「仙台市博物館調査研究報告」第31号)

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新刊図録・目録調査研究報告機関誌「市史せんだい」仙台市史

平成22年度「仙台市博物館調査研究報告」第31号には、以下の論文等を掲載しました。

1 奥の正法寺と偽綸旨

佐々木 徹

本稿は、江戸時代に仙台藩から手厚く保護を加えられていた曹洞宗正法寺(岩手県奥州市水沢区、奥の正法寺と通称)の偽綸旨三点に着目し、正法寺が偽綸旨を創作するにいたった背景や動機について考察した。
その結果、正法寺は十七世紀前半、当時の仏教界が江戸幕府主導で新たに組織・再編される中で、曹洞宗本山に認定された能登総持寺によって本寺格および出世道場の立場を奪われ、今後の論争にも備え、ともに本山となった越前永平寺・能登総持寺に次ぐ「日本曹洞第三之本寺」と自らを位置付け直した上で中世段階の年次をもった綸旨を創作したのではないかと指摘した。
奥の正法寺の偽綸旨は、曹洞宗教団および仏教界全体の中世的秩序が近世的秩序へと変容する、その時代のうねりを経験した貴重な文書群だったのである。
またこの中では、仙台藩の素地が固められていくなかで生じた奥の正法寺と仙台輪王寺の新たな軋轢についても言及した。

2 資料紹介「伊達の黒箱」文書について(一)

坂田 美咲

本稿は伊達家寄贈文化財に含まれる「伊達の黒箱」とよばれる寛文事件関係資料群の一部を翻刻し、その内容を紹介したものである。「伊達の黒箱」には寛文11年(1671年)3月27日に仙台藩奉行の原田甲斐宗輔が、一門伊達安芸宗重を斬った刃傷事件について、その事後処理に関する文書397通が一括して収められている。本稿では刃傷事件当日から4月2日までの54通を翻刻し、当事者家臣の仙台下向をめぐる動きや、当事者親族等の取り扱いなど事件直後の仙台藩内と幕府役人の動向について紹介した。

3 新「スタディシート」の一年ーその構成と活用方法を中心にー

岩瀬 利宏

「スタディシート」とは、子ども向けに作られた博物館見学用の補助シートである。昭和62年(1987)に登場し、多くの小中学生に活用されてきたが、総合展示室のリニューアルに伴い、平成22年(2010)4月から内容を一新した新「スタディシート」の使用が始まった。
本稿では、旧シートとの比較を通して、新シートの構成と活用方法について以下の3点を中心に説明し、4月から12月までの利用状況とそこから見えてきた課題について報告した。
・扱う展示資料を厳選しなおすことで、26種類あったシートを9種類にまとめなおした。
・シートのおもて面は、展示資料に関する子ども向けの問いが記されており、資料を注意深く観察して何かに気づかせることを目的とした問いの他に、疑問を抱かせたり考えさせたりする問いも組み込んだ。
・シートの裏面には、新しく解答例と資料の関連情報を載せた。学校で使用する場合、事前及び事後学習で活用できるようになっている。

4 仙台市博物館リニューアルにおける情報提供システムの導入について

押野 良美

当館では、常設展示室のリニューアルに伴い、所蔵資料や関連施設の情報、仙台の歴史や文化に関する様々なトピックなどを紹介する「来館者情報提供システム」を導入した。
本報告は、そのシステムの構成・概要等を説明するとともに、月別・項目別のアクセス件数など実際の利用状況を踏まえ、今後の課題等について考察したものである。
本システムでは、展示室内に設置した大型年表との連動やQ&A形式での様々なトピックの紹介など、来館者が興味を持って歴史に触れられるよう新たな工夫を試みた。利用状況を見ると、Q&A形式でトピックを紹介する項目の人気が高く、全体的にはやはり伊達政宗に関する項目が圧倒的にアクセス数の上位を占めた。一方、項目や端末ごとにアクセス数にかなりの差が見られるなど運用面での課題も見えてきたため、今回の結果を踏まえ、今後より一層の充実を図っていきたい。

 

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