若林区

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更新日:2024年11月19日

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若林城・いまむかし

伊達政宗が築き過ごした若林城

仙台城下をつくってからおよそ30年ほど経った寛永4~5年(1627~8)、政宗は城下東南の「古城」とよばれるあたりに若林城を築きました。
幕府には「屋敷」として建造の許可を得て、政宗自らが工事の細部まで指揮したといいます。
敷地は東西約400メートル、南北約350メートル、土塁の高さ約6メートル。一帯は湿地や深田が多く難工事でした。
城は晩年を過ごすための隠居所といわれてきましたが、研究の結果、現在は実際に執務を行った場所と考えられています。
城の完成にあわせ、城下町として奥州街道沿いに荒町から河原町までの町割がなされ、河原町からまっすぐ東に向かい城に至る道が通りました。

仙台城下絵図(一部)の写真
仙台城下絵図(一部)天明6年~寛政元年(1786~1789)仙台市博物館蔵
若林城跡は掘の水の青色で縁取られ、「古御城」と記されている。

若林城の廃城

政宗はこの城で8年間を過ごした後、寛永13年(1636)に江戸で亡くなりました。その3年後の春には建物が解体されて仙台城二の丸に移され、政宗の遺言によって堀だけが残されました。
延宝年間(1673~81)には藩の焔硝蔵(火薬庫)がつくられ、貞享4年(1687)には爆発事故で死者を出しています。6代藩主宗村が別荘を置いたとも伝えられていますが、江戸時代が終わるまで城跡の周囲はさびれたままでした。

旧若林城のまわりを歩いてみると

河原町から古城神社の前を通りさらに東北本線を横切って東へ向かうと、正面に宮城刑務所が見えてきます。この道が若林城の西の入り口に向かう、かつての大手筋。
現在は宮城刑務所の高い塀が築かれ、また周囲には古城小学校や刑務所宿舎が建ち並び、中をうかがうことはもちろん、塀の近くまで近づくことも困難ですが、たたき固めた土塁やまわりの堀が往時をしのばせてくれます。まわりを歩けば、かつての城の規模が実感できます。

若林刑務所の写真
「若林城跡」の文字が刻まれた石柱が宮城刑務所の北側に立つ。

土塁や堀の写真
いまも、土塁のまわりには堀がめぐり、水が流れている。

若林城を空から見ると

往時の若林城が、現在にいかに受け継がれているか。それを知るのに最適なのが航空写真。
江戸時代に絵図に描かれた若林城と戦後間もない頃に撮影された写真をくらべると、北西(左上)や北東(右上)の張り出しなどの特徴が共通し、形はほぼ300年にわたってほぼそのまま保たれてきたことがわかります。

若林城絵図宮城刑務所航空写真

若林城絵図(左)と宮城刑務所の写真(右)。全体の形はほとんど変化していない。
左:仙台城下絵図(一部)天明6年~寛政元年(1786~1789)仙台市博物館蔵
右:航空写真(昭和31年)国土地理院

宮城刑務所の設置

明治12年(1879)9月、宮城集治監(みやぎしゅうじかん、明治時代の刑務所)が若林城跡につくられたのが宮城刑務所のはじまり。当初は西南の役などの国事犯を収容しており、収容人数は3000人だったといいます。中には、陸奥宗光や河野広中など要人の独房もありました。
大正11年(1922)に監獄法が変わり、現在の宮城刑務所という名前になりました。

六角堂とよばれた建物

宮城集治監の建物は東京の大倉組が請け負い、当時の最先端の建築技術が投入されました。
中央に4階建て6角形の見張り棟があり、獄舎は雪の結晶のように放射状に6棟伸びていたことから、「雪型六出の構え(せっけいりくしゅつのかまえ)」と呼ばれました。
ケヤキ造の建物はペンキ塗りで、玄関は唐破風(からはふ、切り妻屋根の端の部分が曲線になっている様式)、塔の頂きには神社に見られるような宝珠の形の玉があり、明治初期の洋風建築独特の和洋折衷様式がよく表れたものでした。
惜しくも、昭和48年にすべて取り壊されています。

旧刑務所写真
重々しい独特の雰囲気をただよわせていた宮城刑務所(写真:戦災復興記念館蔵)

臥龍梅と蟠龍の松

宮城刑務所奥庭にある梅の巨木。文禄2年(1593)の文禄の役で出兵した伊達政宗が、朝鮮から持ち帰ったと伝えられています。はじめ仙台城に植えられ、のちに若林城に植え替えられたといわれています。
南北両方向に太い幹が水平に伸び、伏臥していることから臥龍梅と名づけられました。東西で14メートル、南北では19メートルを越え、幹は太いところで1.4メートル、白梅で実をつけます。昭和17年に国の天然記念物に指定されました。
また、刑務所敷地内には土井晩翠が「蟠龍(ばんりゅう)の松」と名づけた推定樹齢330年のクロマツもあります。
臥龍梅・蟠龍の松は刑務所敷地内にあるため、一般公開はされていません。

臥龍梅の写真 蟷竜(ばんりゅう)の松
一般の市民はなかなか目にすることはできないが、見た人はその見事さをたたえる。

 

このページは、仙台開府400年を記念して実施した「若林区の魅力発見事業」で平成14年度に製作しました。
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