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更新日:2017年5月25日

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質疑応答の概要(平成29年5月24日)

平成29年5月24日

 

(1)4月の事案についてより開かれた調査を行うとのことだが具体的にはどのようなものか

具体的なあり方については、まだ詳細な案を持っているわけではありません。私のリーダーシップということですから、まずは事務局を市長部局に置くということです。

また、これまで専門委員会などいろいろとありましたが、現時点では仙台の地域の中で専門的な職能の方々のご意見をいただき調査を進め、対策を検討してきました。今回、文部科学省が今後の調査の進め方等については、専門家も含めて文部科学省として持っている知見などを提供したい、支援したいということですので、場合によってはそういった方々に委員として入っていただくことなどもあり得るかもしれないと思っていまして、その辺は少し幅広に考えてみたいと思います。

 

(2)既存の仙台市いじめ問題専門委員会とは別の調査委員会を設置するということか

教育委員会が行っている専門委員会の部分は法条に決められたもので、それはそれとして教育委員会として機能を果たす必要があると思います。今回お伝えした再調査はこれも法に定めのあるもので、私の責任において委員を選任し、進めていくものです。いわばこの2つは制度的なものだと言ってよいと思います。一方で今回義家副大臣からいただいたご意見は、これは私の受け止め方ですが、これらの2つの法に位置づけられた専門委員会を、客観的な説明に耐えるようなものにし、また市民の信頼を回復できるものとするのはもちろんですが、個別の事案の中での調査だけでは、連続して3件の自死事案が起こったことや今後の対応策に向けてより専門的な知見を生かすこと、また、それらが十分であるかということについて答えきれないのではないか。例えば体罰の問題については、今回の事案でももちろん個別に究明をしていかなくてはならないと思いますが、現在抱えている懸念の一つとして仙台市の他の学校で体罰があったのかなかったのか、もしくはそれが日常化しているという恐れがないのか、そのように今までの調査の枠組みから外れてくるものを副大臣もお含みの上で私に助言をされたのだと受け止めています。副大臣のご指摘の幅広い部分をカバーできるような何らかの委員会なり調査機関なりをイメージしています。

 

(3)いつまでにどのような構成で設置するのか伺う

まだそこまで詳細なものがあるわけではありません。ただ、副大臣のお話の中に出たような、スピード感を持ってということは強く私も要請を受けたところです。やはり教育というものは全国の国民の方からの信頼がなくてはできないことですので、その信頼が損なわれていることについては、1日も早く方向性を示して動き出し、できるところは駆け足でやっていくことを強く要請されたと思っています。なるべく間が開きすぎることなく、しっかりと組み立てて皆さまにお示ししたいと思います。

 

(4)22日に開かれた議員協議会後の取材において、配慮が必要な子どもへの対応の検討を行う委員会について言及していたが、これとの関係について伺う

そのことは義家副大臣にお目にかかる前に私がイメージして少しお話をしていたことかと思いますので、あらためて委員会を別につくるのがよいか、それとも今回私がつくろうとしている委員会の、例えば部会のような形とするのがよいか、少しその辺りについても併せて検討したいと思います。あまりに委員の方々が重複すると、情報の共有も含め逆に多くの課題も出てきますので、そこは少しシンプルになるように考えてみたいと思います。

 

(5)市長のリーダーシップの発揮の仕方を伺う

義家副大臣はさまざまな意味を込めてリーダーシップとおっしゃったと思いますが、もとより教育行政については総合教育会議もありますし、さまざまな法の改正もあり首長が従前よりも教育に大きく関わるような実態があります。そういう中で3件目の自死が出るに至ったことについて教育委員会のみの責任と思っているわけではありませんし、十分首長としての私の責任もあると思っています。そうした中であらためて私としてできることとして、まず一つは今さまざまな意味から疑問が持たれているところについて、できる限りの調査をし公にしていく、またいろいろな方からご意見をいただく中で専門的な分野についての検討を深めていくことがあります。

また体罰の問題については、教育委員会は教育行政の責任者であり教員全体のとりまとめ役ですので、そこが調査をしたのでは身内に甘いのではないかという疑念もあります。副大臣はそこまではおっしゃいませんでしたが、そういう懸念も含めて国民の理解を得られるかというご意見だったと思いますので、私が別の立場から調査をしてしっかりとお示しをしていくといった教育委員会のみにとらわれない市長部局、市長としての立場からのきちんとした責任のある調査の実施や説明、これがまずは第一歩だろうと思います。

 

(6)今後の調査は市長主導に切り替えるということか

基本、地方教育行政の組織及び運営に関する法律なり、いじめ防止対策推進法の再調査の仕組みでもそうですが、教育委員会は学校現場を抱えていますので、教育委員会抜きに何かが完全に進むことはないと思います。

ただ、教育委員会のみで対応することに対する疑義や教育委員会が身内的な判断になるのではないかという懸念、そういったものが深い中で私がしっかり関与をしていくということですので、私が100%やるということではなく、例えば今までの私の関与が50%よりも下だったとすれば、50%もしくは50%を超えるところで一緒にやっていくということだろうと思います。

 

(7)市長はこれまで市教委の独立性や中立性にかなり配慮してきたと思うが、義家副大臣から全面的にリーダーシップを取るように求められたことをどう受け止めているか

義家副大臣は政治家ですし、横浜の教育委員としてや、学校現場でご自身もさまざまな課題を抱えた生徒さんに接してこられたという意味でのご識見もご経験もお持ちだと思います。副大臣はある意味ではそのようなニュアンスのこともおっしゃっておられたと思います。

私としては最終的に学校現場をしっかりと預かりそれを良くしていくのは、教育委員会の一人一人の力、学校現場の先生方のしっかりとした教育力、教員としての自覚、そうしたものを抜きにしては信頼ある学校現場を作っていくことは困難だろうと思っています。

ただ、現在は極めて異例な事態が起こり、その解明のプロセスにおいて市民の皆さまの疑義を招くような事態になっています。市民の方のそういった懸念を代弁する形で私がしっかりと関与させていただき教育委員会も関わることによって、教育委員会自らもその中で私が進めていくプロセスをともに歩み何らかの経験、知見を学ぶ、もしくは私と教育委員会が共に文科省から指導いただく場合にはそれを一緒に学ぶといったような、教育委員会の体質というものがあるとすればそうした体質の改善や今後への認識の向上につなげていく作業にしたいとも思っています。

 

(8)市長が設置する調査委員会に文科省の関係者が参加するのか

文科省でお話をいただいた中でそういったご発言がありましたが、現時点で具体的に文科省がどの程度のことをお考えであるか、またそれが可能であるのかなどは、はっきりしていません。今後私どもの方でまずはたたき台を作って、それを基にこちらからこういう立場のこういう方はお願いできるかなど、いろいろなご相談をさせていただかなければなりませんので、今の時点で決める要素は乏しいと思います。

 

(9)市長はこれまで市教委に遠慮があったように感じるがいかがか

特に遠慮があったという認識を私自身は持っていませんが、義家副大臣からも、市長は教育長の経験があると承知しており、せっかくの教育長の経験がある首長という立場をしっかり生かすような形でリーダーシップの発揮につなげてほしいというお言葉はいただきました。私の経験を踏まえつつ、しっかり判断し進めていくということだと受け止めました。

 

(10)市長のリーダーシップをもっと早くに発揮すべきだったのではないか

再調査についてはこの間、随分自分自身でも検討し、状況の報告を受ける中で考えを煮詰めてきました。また、4月の事案について市長部局がどう関わっていくかについては、22日に開かれた市議会の議員協議会の中でいくつか方向性を示させていただきました。

そういう中で、文科省としてもこれについては文科省の判断、見解を伝えておきたいということで22日の面談になったと思いますので、ある意味では期せずして事態を迅速に前に進めるという関係者の思いが一致し、集約していったと思っています。

 

(11)市長主体で行う調査の対象範囲を伺う

その辺りの切り分けについては、まだ教育委員会として4月の事案に関するいじめ問題専門委員会への諮問を判断していませんので、まずはそこの整理をどのようにするのかもあると思います。

また、全体として教育行政の幅広い問題の中でどこまでを取り扱うかはスピード感のある審議との関係もありますので、適切に役割分担をしていく必要があります。例えば複数の委員会が立ち上がって、複数で何回も学校現場でヒアリングを行い子どもたちの負担になってはいけないと思いますので、そういうことも含めて全体としてどのように進めばよいか、またその間の役割分担をどうするか、その役割分担に根ざした委員の構成をどう考えるか、文科省としてのご支援をどう求めるのか、それを口頭によるサジェスチョンとして聞いて実態はわれわれで実施するのかなど、かなりさまざまな幅広い選択があります。今の時点ですぐにお答えすることはできませんが、いずれこういう一つ一つの事案を早急に整理して全体としてお答えできるように組み立てていきたいと思います。

 

(12)全体のスケジュールを伺う

まずは今お話ししたような複数の委員会が立ち上がるのではないか、少なくとも私の中でも再調査の委員会とそれ以外の調査委員会というお話をしていますので、そこに2つあるわけです。そのほかに4月の事案に関する教育委員会のいじめ問題専門委員会を立ち上げるかどうかがあります。そうした中で、それぞれが現実に共有できる調査や新たに調査しなければいけない部分としてどういうものがあるのかという洗い出しとともに、それらが例えば学校現場や特に生徒にとって過度な負担にならないような進め方を調整していくことになると思います。

 

(13)4月の事案についての調査も市長が主体の調査委員会で行うのか

4月に発生した3件目の事案については第一義的に教育委員会のいじめ問題専門委員会で調査を行うというのが基本の定めです。教育委員会としてまだそのことを最終的に決定していませんが、過去2回の事案のとおりに進むと仮定すれば教育委員会で行うという整理が一般的だと思います。

私がもう一つ事務局として必要だとお話をしたのは、個別の事案の調査を超えて、例えば今回の事案以外に仙台市の教育現場において教師によるいじめに関連するような体罰が見逃されていたということがあるのかという大きな疑問、クエスチョンマークに今のいじめ問題専門委員会は答えるという責務はありません。そういった個別事案を超える点も含めて市民国民の信頼を取り戻す方向での努力が早急に求められているという副大臣のお話ですので、その点を中心に議論をしていくのは私のところで進めたいという考え方です。

 

(14)4月の事案は市教委のいじめ問題専門委員会と市長部局の双方で調査を行うのか

そこをどのように整理するのが妥当なのかということは、若干法の解釈にもよりますので文科省に確認をしなければならないと思っています。並行して可能だということもあるかもしれませんし、専門委員会と別の独自の委員会を立ち上げることによって何かを損なうのではないかということを法が懸念しているかもしれません。法上の権限のありようについての把握はしていませんのでそこは精査したいと思っています。

 

(15)義家副大臣との面談の中で、専門委員会の再構成を考えていると市長が発言したとのことだが

これは再調査のことをイメージしていたと思います。今までのいじめ問題専門委員会というのはすでに委員として任命された方がいらっしゃって答申することになります。例えば仙台市域で日ごろご活動の方、仙台は幸いなことに弁護士会や職能団体も支部をもっておられますし、多くの在仙の大学がある中で有識者である大学教員の方などがいらっしゃいますので、これまではそういう中でお願いをして、そういう委員構成で進めてきました。

今回その専門委員会の構成にご異議がありますので、それらを検証するとなったときに従来通りの枠組みの委員の中では十分ではないのではないかという懸念、課題認識が私の中にあります。今後私が設置する再調査以外のもう一つの委員会も含めて、委員構成については今までの委員のような地元中心ではないところで考えていかなければならないのではという発言につながったと思います。

 

(16)委員の選定にあたり、具体的にどのような部分で市外の委員をお願いするのか

具体的なものを想定しているわけではないですが、例えば職能団体で言えば今まで地元で仙台弁護士会から先生を推薦していただきましたけれど、例えば日本弁護士会から他の都道府県のいじめ事案でご経験のある方をご推薦いただくなど、仙台市以外の事案にも精通していらっしゃる専門的な経験また知見の豊富な方をお願いするのはいくつかのジャンルであり得ることだと思っています。逆にいうと地元だけの知見のなかで話を進めるのに限界があればそうしたことも十分に念頭において選任しなければならないと思っています。

 

(17)遺族が推薦する委員を入れる予定はあるのか

私に頂いた所見書の中で希望する有識者等を委員にというご意見をいただいております。基本はやはり委員会としての中立性、公平性がありますので、例えば職能、専門職としてこういった方が入っていなかったから、仮に臨床心理士さんがいらっしゃらなかったとすれば、やはりカウンセラーの方が入ってほしいということで職能団体の中からご推薦いただくということは十分可能だろうと思います。任意団体や一般的に活動している団体になると、個別に具体の名前をいただいているわけではありませんので、まずはご遺族の意向をしっかり確認させていただいてからになると思いますが、基本はやはり推薦をいただくということだと思います。

 

(18)遺族が推薦する方を加えるということか

個人の方からの推薦というのはいかがでしょうか。やはり再調査と言っても関係する生徒の方や保護者の方にあらためて事実をお話しいただくことや、その当時の知っているかもしれないことを尋ねることになりますので、ご遺族のご懸念ももちろんありますけれど、再調査にあたっても中立性はあってしかるべきだと思います。双方の方にご理解いただけるような委員構成を模索していくことだと思います。

 

(19)4月の事案では遺族が推薦する委員をいじめ問題専門委員会に加えるのか

基本として文科省のガイドラインでは、専門委員会の構成は中立性や公平性の意味合いも含めてまずは第三者にしっかり説明できること、つまり設置した教育委員会なり仙台市長なりの恣意(しい)ではないことを証明できる形で委員の人選を行うべきとなっています。おそらく教育委員会としても私が今お答えしたような職能としてこういう方をということで、例えば包括的なものの中からそちらの団体の責任において推薦いただくという形は可能だろうと思います。

 

(20)4月の事案に係るいじめ問題専門委員会の設置時期を伺う

今後、教育委員会に諮ったうえで決定するという段階だと思います。

 

(21)包括的に調査する市長部局の調査委員会の設置時期を伺う

私としても委員の構成などをよく考えて、調査対象とする範囲についても少し教育委員会と調整しなければいけませんので今の時点では見通しが立っていません。ただ急がなければという認識は十分持っています。

 

(22)平成28年2月の事案の再調査委員会の開始時期について伺う

一つにはご遺族の方からのご要望に関して有識者の方という言葉が所見書にはありますが、有識者というのは少し概念が広いのであらためてどういう分野の有識者というご認識なのかを確認させていただく必要があると思います。また全国の団体からご推薦いただくということになると、推薦いただくことが可能かということを問い合わせして、また団体として決定までに必要な時間がどの程度あるのかという確認も必要になってくると思います。少し全体の調整をしてみないとスケジュール感というのはお示しできないところです。

 

(23)3件の自死事案について市長は教育行政の課題と捉えているのか、市政の課題と捉えているのか

基本的には教育行政の課題というのは、何よりも学校現場のなかで子どもたちに安全な環境を提供してそこで学んで活動してもらうということが趣旨だと思いますので、基本私は教育行政の範疇をそういったことで捉えています。

ただ当然のことながら個々のお子さんによって例えばご家庭の事情もさまざまですし、ご本人自身の持っている課題もあります。そうなると当然、健康福祉局やアーチル、児童相談所などが例えば就学前から関わっていることもありますし、就学の途中で何らか専門的な判断が必要だということで途中から関わりが入る場合も多々あります。そういう意味では双方が関わる。今私が教育委員会との関係性を中心にお話ししたのは、この2つが切り分けられるものではなくやはり相互に影響し合い、また情報の共有がなされないと最終的にお子さんにとって良い結果にならない。これは私の経験上そう思っていますので、それを担保するためにはどんな場合でも教育委員会と市長部局が連携をする部分というのは必ず必要であると思っています。

ただ一般的に学校の中で学校運営がつつがなく行われている場合には、包括的に教育委員会として運営していただくのが大原則だと思います。今回は3件の大変異例な事態が起こり、またそのなかで教育委員会の調査に関する疑義、なぜ体罰が分からなかったのか把握できなかったのかという疑念がありますので、私としてしっかりとした組織を立ち上げて教育委員会の言い分も聞きながら、市民の方にお示しできる信頼の回復につながるような調査や対策の構築につなげていきたいと考えています。

 

(24)市教委任せではスピード感が欠けるように感じる。あらためて市長のリーダーシップが求められていると思うがいかがか

事態の進め方に関するスケジュール感については私はまだ教育長と擦り合わせていません。昨日まで指定都市市長会で仙台を離れていましたので、文科省に行ってからまだこの件で擦り合わせができていませんが、当然のことながら義家副大臣がスピード感を持ってとおっしゃったことは文科省としての強い危機感の表れだというふうに受け止めております。過去2回の事例でどのような時間がかかったかすぐには思い出せませんが、できるだけ早急に進めていくことが求められていることは私も十分承知していますし、義家副大臣からもその点については強くご指摘いただいていますのでそれを踏まえながら教育長と日程に関しても調整したいと思います。

 

(25)4月の事案についてアンケートの原本を見せてほしいとの遺族の要望をどう考えるか

ご遺族からそういったご要望が出されたということは報告を受けています。ただ原本は個人情報そのものにあたる場合もありますし、ご遺族は第一当事者でございますけれども、子どもたちが自分の範囲のなかで見聞きしたものを記載した原本そのものを公開することの適否や、仮に可能であったとしてもその時期も含めて慎重に判断すべき要素がいくつかあると思います。私としては現時点では、原本について何らかの確認をしたいということであればこれらのことについて慎重に検討したうえで限定的にであれば可能かとは思いますが、全部ということが可能かどうかは不可能ではありませんが若干慎重であるべきではないかと思います。

 

(26)4月の事案について小学校時代にも体罰を受けていたのではないかという点に関する調査の進め方を伺う

第一義的には教育委員会で調査を進めると思いますが、いじめ自死事案に限らず、中学生になってから小学校時代にこういうことがあったというご連絡が保護者から寄せられたり、また子どもたちの中でそういうことが話題になったりすることもあります。まずは当時の担任を中心に把握できるものであれば担任や関係の先生から状況を確認していく、またはできることであれば当時の子どもたちに調査の協力をお願いするなどいくつか手立てはあるだろうと思います。

 

(27)長期間にわたり当該生徒の苦痛が見過ごされてきたのでないかと感じるが市長の受け止めを伺う

そのようなことが長期化していたのかもしれないということも一つの大きな問題意識として持った上で調査を進めていくべきだろうと思います。その結果そうではなかったことが分かればそれはそれで安心の材料になりますが、今回の場合はご本人からの申告なども十分に届いていなかったということがありますので丁寧に調べていく必要があると思います。

 

(28)4月の事案が発生してから1ヶ月が経過するが、この事案を防げなかった理由について現時点での市長の考えを伺う

さまざまな深い分析は今後に委ねざるを得ないものもありますが、一つにはいろいろな意味で支援を要する生徒さんであったということがあります。支援を要する生徒さんに対する支援のあり方が、学校の教員の中でも十分に共有されていたか。特に指導の最前線である授業の中でそれぞれの先生の対応に委ねられていた部分が、授業は当然そういうものではありますが、多かったのではないか。課題のある方に対する、例えばいじめにつながるようなことも含めた対応という意味で言えば、授業にどう参画してもらうかや周りの生徒にもどう関わってもらうかということについて、より突っ込んだ分析や、また支援の必要な生徒さんの対応というのは、いろいろな学校でそれぞれ持っているのだろうと思いますので、そういう事例を持ち寄ってより教員全体として取り組むというような、そこのところが極めて欠けていたのが残念な結果につながったのではないかというように私としては今受け止めています。そのことが結果として教員の体罰ということの発覚を遅らせ、全体としてさらに教育現場に対する信頼を損ねるという悪循環に陥っていると思います。

 

(29)いじめを訴えた生徒に対する手の差しのべ方という点についてはどう考えるか

大人であれば「こういう言い方をすれば、こういうものが期待できる」という一定の想定のもとに自分の訴えを組み立てますが、子どもたちは必ずしも大人ほど心の中を全て上手に言葉として表現できないところがあります。そういう意味では、言葉として出てくるものが少ないことや日常の中で行動がそれほど変化しなかったことだけでは、いじめが本人の中で深刻なのかどうかはうかがい知れない部分がありますので、お子さんの心に与えるダメージは外見からだけでは判断できないものがあるということに対する恐れについても、教員は常にセンシティブにあるべきだと思います。

 

(30)学校だけに限定した問題意識のように感じるが、地域や福祉的な関わりなどに係る課題についてはいかがか

4月の事案を中心に今思っていることを述べましたけれども、より普遍化すると地域との関わりや専門的な支援をどの段階でどうつなげればより良い改善の方向が見いだせたかについても十分に大事なことだと思います。

こういったことには保護者の方のご理解も必要ですし、学校以外の外部の支援機関に行く場合には保護者の方に同行いただく必要がありますので、そういった意味での保護者の方への働きかけや、そうした場合の一定の話し合いやカウンセリングの経過観察をどう進めていくかなど長期的な健康福祉局との関わりの可能性というのもあり得たと思います。そのことはどうあるべきかということをより深めることも大きな論点の一つだと思います。

 

(31)新たな調査委員会ではそうした検討も行う可能性があるということか

そうですね。

 

(32)義家副大臣は市教委の機能不全を指摘したともとれるが、市長はどう受け止めているか

今回の対応について教育委員会として反省すべき点は多々あったと思います。例えば初動に関するいじめの認識の問題や教員の体罰について何らかの形で把握できなかったのかという思いは私にもあります。しかし教育委員会が完全に機能停止状態で何ら有益なことをなしていないと副大臣がおっしゃったわけでもありませんし、副大臣は国民の教育への信頼が損なわれることを非常に重く考えていらっしゃるので、スピードの問題や早く事態の解明に向けた道筋が見えるようにしてほしいという強いお気持ちのもとに、教育委員会に対しては厳しいご指摘もされたと思います。ただ私としては完全なる機能不全だとは思っていません。

 

(33)副大臣の指摘を受けて、教育長の任免も含めた今後の組織のありようをどう考えるか

いじめの事案について全学校で調査するとかなり膨大な数が出てくるわけですが、文科省は全数を教育委員会として把握すべきだという問題意識を持っていらっしゃいます。

あらためて全数を把握した上で教育委員の役割も非常に重視したいというご発言もございまして、それをしっかりと保護者や市民の代表である教育委員の皆さんにご説明をし、保護者の立場や地域の立場からのご意見もいただいた上で、組織立った対応を取ることが望ましいというお話も一部あったと思います。今の組織で副大臣がイメージしているようなことを全てこなせるかというと人員的にも組織的にも限界がありますので、いただいた大きな宿題に対して組織的・人員的なものも含めてどう対応していくかということが今後の課題だと思います。

 

(34)市長部局で新たに立ち上げるのは調査委員会か、それとも組織を立ち上げるのか

まだ名称を決めているわけではありません。組織と言いますと部局の課や係をつくるということになりますがそうではなくて、委員会を設置するためには当然担当部局が必要になりますので、担当部局は既存の組織の中で調整をしたいと思っています。

私が設置者である委員会では、3つの事案を含めたいじめ問題への対応の課題を中心に、例えば今までの施策で抜け落ちていたところや既存の組織で課題のある部分、また今まで足りなかったかもしれない市長部局の専門的な職能との分担など広範のものについて議論をいただき、あらためてそれを現実の対応策として打ち出していくということです。打ち出すものの中には、場合によっては教育委員会の組織の改変や見直しなども含まれるかもしれません。

 

(35)調査の対象は3つの事案に関することか

3つの事案に共通することを土台に、仙台市においていじめや特に教員の体罰の問題について市民の方の教育に関わる不信を取り除いていくために、どのような調査や対策が必要かということをご議論いただき深めていくということです。

 

(36)メンバーは第三者になるのか

もちろん第三者になります。

 

(37)平成28年2月の事案について再調査を決定した理由をあらためて伺う

まず基本的に教育委員会が設置したいじめ問題専門委員会がガイドラインに沿って出された答申は妥当であったと受け止めています。

ただ、ご遺族の所見書にありますとおりいじめ問題専門委員会で把握している事実の認定とご遺族が持っていらっしゃる事実の認定とで食い違いがあるということが一つあります。また平成28年2月の事案や平成27年9月の事案の場合も再発防止策をいただいていますが、再発防止策というのは当然調査と連動しているものであり、その再発防止策が十分だったかという点について検証していく必要もあるだろうと思います。そういった観点から今回再調査に踏み切るということを判断しました。

 

(38)この事案については同級生が卒業しており調査が難しくなる中、どのような調査を行いどのような結果を望むか

同級生が卒業していることによって調査に困難な面があるというのはご指摘のとおりだと思います。しかしそういった事態も踏まえてご遺族のご所見としては再調査を望まれていますので、再調査委員会としてはさまざまな知恵を絞っていただいてできる限りのことを進めていく必要があると思います。

調査の結果について何を望むかということは、私が軽々に申し上げるべきことだとも思いませんし私が望むということ自体あり得ないことでありまして、委員の皆さまが市長や教育長の望みなどにはとらわれずにしっかりとしたご自分の専門領域の中で事態を究明していただき、厳しいことであれお気づきになったことは率直にご発信いただくということが再調査委員会として寄与すべき大きな点だろうと思います。

 

(39)再調査委員会の委員についての遺族側からの要望については、団体であれば対応も検討できるが個人の推薦は受け付けかねるということか

団体ということではなくて、職能団体として機能している、一定のまとまりがあり総会などの意思決定機構が働いていると思われる団体であれば、そこからのご推薦はあり得るだろうということです。任意の団体となると、その団体の意思決定のありようやメンバー構成など、いろいろな関係の方から疑義が出るということも懸念されますので、そこは少し慎重に考えなければならないと思います。

 

(40)2年7カ月の間に3件の自死が起きたことに関してあらためて所感を伺う

この3年弱の間に若い生徒さんが3名自ら命を絶たれたことには大変驚愕するとともに、一例目を聞いた時に十分に衝撃を受け教育委員会ともども調査と再発防止に努めてきたと思っていましたので、結果としてそれらが不十分であり新たな自死を防ぐことができなかったということは私としても大変残念であり遺憾でありますし、何よりもご遺族に対しては防げなかったことをまずはお詫びしなければならないと思います。あらためてわれわれに何が不足していたのかしっかりと外部からの目をもってご意見をいただき、さらに取り得る対策に向けて進んでいくことが大事だと思っています。

 

(41)再発防止策について現時点では何が足りなかったと考えているか

より普遍的なところで言えば、第一の事案の時からの課題ではありますが教員間の連携ということだと思います。特に中学校の場合は担任の他に各教科の先生がいますので生徒本人にかける言葉も小学校と違って多くの教師からかけられます。そうした中で生徒にダメージを与える言葉が教員から発せられたとしてもそれを担任などが把握しきれていないということも考えられます。今回の場合そうしたことが大変厳しい事態にまで追い込んでしまったのではないかという懸念は持っています。

 

(42)平成28年2月の事案について、文科省のガイドラインが再調査を検討する必要があると示している3点の判断基準のうちどの点に該当するとして再調査の判断に至ったのか

今回の調査を拝見してこの3点のどこかに重大な見落としがあったとは思っていません。そういう意味ではいじめ問題専門委員会の調査は一定適切に行われたのだろうと思っています。

ただ結果としてご遺族が受け止めておられる事実といじめ問題専門委員会が確認した事実との間に乖離(かいり)があることは事実であり、この乖離についてさらに検証する作業を経ずに現状が一番正しいのだと言うことは難しいと私は思いました。何か欠落した調査があったと発覚したから再調査を行うのではなく、ご遺族が指摘されている懸念に対してなお答え得るかどうかということについて、再度調査に踏み込んで調べられる限りのことは努めて頑張るという趣旨です。

 

(43)ご遺族は加害者の特定を強く求めているがその点について調査は行うのか

ご遺族の中にはそういった気持ちもあろうかと思います。ただいじめ問題専門委員会の報告書の中にもあるとおり、任意で行うヒアリングの中では確たるものとしてお示しできるようなものはなかったという状況が書かれていますので、いじめ問題専門委員会では困難な面があったのだと思います。

その困難な面を再調査委員会で打破できるかということは、生徒さんの卒業などで事態が変化していますので容易ではないと思います。あらためて再調査委員会がスタートしたことの意味や趣旨、再調査委員会という立場からのお願いなどによって再度調査できないかということを試みる価値はあるだろうと思います。

 

(44)市長の課題認識は学校の話に限られているようだが、市や市教委に不足していた点についても伺う

もちろん事案の全体を含めてトータルに調査をしていかなければ、関与の必要だったものの度合いは分からないと思います。私が教員間の連携を第一にあげたのは子どもと接する時間が一番多いのが教員であり、中学校では教員が教科ごとにばらばらであるため生徒の授業時間の全体を通して見ている大人がいないということが特徴的であると考えたためです。もちろんより深く考えれば健康福祉局が持っている専門的な組織や専門的なスタッフ、学校外や地域のありようも問い直す必要があるだろうと思います。

 

(45)2年7カ月という期間で改善に至らなかったことについて所感を伺う

2年7カ月経ってそれだけの大きな歳月が流れる中で子どもが1年生であれば卒業してしまうので、なかなか改善の実が上がらなかったことについては大変申し訳ないと思いますし、何をしていたのかとのご指摘が市民の方からも多くあることも承知しています。そのことについてはお詫びしたうえで、われわれが考えてきたことの中に十分でないところがあったことは事の結果から見れば事実だろうと思いますが、今までに気がついたことがあれば私として発言し対策に取り組んできたと思います。ですから子どもたちにとって大変貴重な時間が失われてしまったことの責任を重々感じ、なお今後の調査の中でしっかり深めていかなければならないと思います。

 

(46)平成28年2月の事案に係る再調査委員会の設置のめどについて伺う

設置のめどについては、委員構成を決めた後、また構成によって職能団体から推薦いただくことを基本としていますので、どの団体をご推薦するか決めていくことになります。決まった結果それぞれの団体の意思決定の時間が必要だと思いますので、今の時点ではいつ設置になるかという明確な期日を申し上げられる段階ではありません。

 

(47)市長の任期中に設置するのか

義家副大臣も私の任期はご承知でしたが、これは子どもの命に関わることであり首長の任期などと関係なく一刻もたゆまず進めなければいけないものであるとの強い意思も含めて市長に行動を期待していますとおっしゃいました。私自身ももちろん任期のことはタイムスケジュールの中で念頭にはありますが、迅速にことを進めなければならないという決意は十分持っていますので、一日も早いご協力をいただいて立ち上げられるように努力をするつもりです。

 

(48)平成28年2月の案件に係るいじめ問題専門委員会の調査に不足がないとするならば、再調査委員会の調査にはあまり期待できないのではないか

事実の認定に向けていくつか越えなければならないハードルがあるということはそのとおりだと認識をしています。まず調査にご協力いただけるのかという面などです。そうしたもののうえであらためてまずご遺族がおっしゃっていることは、プロセスの中でご自分たちの意見というのは当初こう言っていたのだけれど、それが取り入れられなかったという表現がございましたけども、そのことについていじめ問題専門委員会は当初はそういうお話ではなかったと思う、というようなニュアンスも事実の経過の中で示されておられるわけです。それらについてはまずは当事者であられるご遺族の方、また専門委員会、その双方からしっかりと事実関係を確認していくことは再調査の場においても必要なひとつのプロセスだと思います。

それが平行線をたどるのかそれともまた一定の新しい理解に達するのかは、やってみなければわからないということだと思います。あとはやはり関係生徒さんのご協力をいただくことについては、これもいくつか困難な面があると承知していますが、しかし再調査委員会という重ねて調査をさせていただきたいという趣旨をしっかりと伝える中でどこまでの協力がいただけるのかというのは、難しそうだからやらないでおくというわけにもいかないと思いますので、きっちりそのことについて私どもの気持ちを伝え、そしてまたその意図するところをきっちりと受け止めていただけるように努力するということだと思います。

それが結果としてなんらかの権限がないために実態の解明に至らなかったとすれば、あらためて文科省と再調査の枠組みが持つ限界をどう捉えるのかという別の新しい次元の議論にいくのだろうと思いますので、まずはそうなるかどうかわからないものについて調査をしないという判断はないだろうと思います。

 

(49)再調査の意味を説明することで協力を得られることを期待するということか

分からなかったことに対する事実の把握という意味で前進する部分があるのではないかと期待します。

 

(50)遺族はいじめ問題専門委員会の中立性・公平性に疑問を持っていたが、再調査委員会の構成は遺族の気持ちに寄り添っていくものになるのか

再調査委員会を発足するからにはご遺族にも再調査にご協力をいただきたいと願っていますので、再調査委員会の構成について受け入れていただくよう努めるというのは大原則だろうと思います。しかし現時点でいただいているご要望はまだファジーな段階の「有識者」というものですので、今日はじめて再調査に踏み切るという意思の表明をさせていただきましたから、これを受けてご遺族が有識者とはどういう方々をイメージしていらっしゃるのかをこちらの事務局としても確認させていただかなければならないと思います。

その判断の基準としては、われわれ委員会を設置する側が意図的にピンポイントでこの委員を選んだということのないように、広く開かれた職能団体で意思決定の場も明確なところからご推薦いただくというのが一番ニュートラルな方法ではないかと現状は思っています。

 

仙台市長 奥山 恵美子