ページID:26501

更新日:2016年11月15日

ここから本文です。

質疑応答の概要(平成28年11月15日)

平成28年11月15日

 

(1)トランプ氏が次期アメリカ大統領に選出されたことへの所感を伺う

大統領選挙の直前にリバサイド市を訪問しました。リバサイド市はカリフォルニア州にあり、クリントン候補の地盤ということもあって、地域の方々から「初の女性大統領」という声もお聞きしました。私としても、接戦ではありますが初の女性大統領が誕生するのかと思っていましたが、結果としてトランプ氏が次期大統領に選出されました。

選挙期間中のいろいろなご発言を見ますと、トランプ氏はこれまでの日米関係を変更していくようなご意向もかなり強いように私としては受け止めていました。それが今後どのようになるのかは、これからの実際の大統領としての決断を注視していかなければいけないと思っています。ただ、いろいろな方々のご意見を伺うと、選挙期間中の発言と、実際に大統領となって超大国としての利害の中で実務を担っていく面では、当然、考え方も判断も違ってくるというお声もありますので、あまり懸念しすぎることなく、しかし注視していく必要があると思っていました。

 

(2)トランプ氏は環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に否定的であり、東北にとっても大きな問題であるTPPの取り扱いが焦点になっていると思うがいかがか

東北は一次産業の地域ですから、TPPにより大きな影響があるのではないかということで、仙台市内でも農業関係者の皆さまを中心に危惧するところが多いと思います。ただ私は、農産物も一定程度、打って出ると言いますか、ビジネスとしてより高い競争力を持って進めていくべきではないかと思います。基本的にTPPに反対という立場ではないのですが、中心となるアメリカが批准されないとなれば、大きな影響が出ることは間違いないと思います。

いずれにしても日本の農産物が、国際市場も含めて競争力を高めていかなければいけないということは、TPP発効の有無に関わらず大きな課題だと思います。そのことについては、政府も力を奮っていただきたいし、われわれも農業関係者の方もそういう方向性を踏まえて、いかに仙台の近郊農業の生産力を上げるか、もしくは競争力のある産物を作っていくようにするかが大事だとあらためて思います。

 

(3)クリントン候補は選挙を終えて、いわゆるガラスの天井が破れなかったと発言していた。女性候補であるが故の逆風もあったとも思われるがいかがか

男性と女性に候補者が分かれましたので、そういう面もあったとは思いますが、一方でトランプ氏の大きな推進力の要因として、アメリカの国内における地域格差といいますか、内陸部の中産階級の市民層が雇用を得ていた場が衰退の中にあるというようなことなど、アメリカの国内の経済状況も大きく影響したと思います。そういったいくつかの点が相まって、今回の結果になったと思います。

 

(4)村井知事の3期目の任期がまもなく残り1年となるが、村井県政に対する評価を伺う

村井知事の1期目と2期目の大きな柱は、自動車産業の誘致を中心とする富県宮城の戦略だったと思います。それについては、宮城県内の自動車産業の育成など私も大きく評価をさせていただいているところです。一方、福祉の面について言えば、子ども医療費の問題など、1期、2期の間は、必ずしも県民に対して十分ではなかったという面があったことも否定できないと思います。

しかし3期目に入って、満額回答とはいきませんでしたが、子ども医療費について長年引き上げられなかった助成額が一定の引き上げを見たということです。また仙台市内で言えば、特に特別支援教育について県のお力をいただきたい部分がありましたが、まだ十分とは言えないものの、小松島支援学校の設置にも踏み込んでいただいていることをみれば、1期、2期に比べて福祉医療面について前進が見られたことについて、3期目の成果として評価していきたいと思っています。

 

(5)11月3日の市町村長会議で宮城県から基準値以下の放射能汚染廃棄物の焼却処理について提案がなされたが、仙台市としては今後どのように進めていく予定か伺う

会議の時に知事からご提案があり、各市町村から焼却以外の方法をとるべき、もしくは焼却以外の方法も視野に入れてという部分についていろいろとお声がありましたが、試験的な焼却についてのご異論はなかったと受け止めていました。

仙台市としても、ご提案についてしっかりと検討していく必要があると思っていますが、試験焼却といっても概要はきわめて漠としています。廃棄物といってもいろいろな種類がありますので、どこからどういう形のものをどんな形で運んで試験焼却を行うのか。また、一定の水準に合わせて進んでいきたいという県のお話でしたが、それはどういう量、形のものになるのかといった確認も含め、情報収集に当たりながら県と実務的な情報交換を行っている段階です。

 

(6)仙台市は汚染廃棄物を受け入れる側になると思うが、12月下旬の市町村長会議に向けどう取り組むのか

今の段階では試験焼却について検討するということです。県も本焼却については今回の会議の中では具体の話を一切していませんので、それはまず切り離して考えたいと思っています。

県から、われわれが具体的にイメージできる情報をまずいただきたいということと、われわれが持っている情報を市民の皆さんや議会にも公表して、市民の皆さんや議会のさまざまなお声をいただくことが前段だと思います。それを受けて12月末の判断になると思います。

 

(7)試験焼却については受け入れる前提で検討を進めるということか

そうです。会議の場で試験焼却に対して具体的に反対という声はなかったわけですので、全自治体においてそのことを前提に検討し、結果がどうなるかは12月にならなければわからないという段階だと思います。

 

(8)試験焼却についての住民説明会などは行うのか

説明会については検討中です。われわれとしては既に3工場で仙台市内の廃棄物を燃やした実績がありますので、その範囲にとどまるものであれば、まったくゼロから始めるわけではないので説明する必然性があるのかどうかということもあります。前回焼却したときの条件と違う要素があれば、ご説明しなければいけないでしょうし、その辺がどうなるか手持ちの情報ではまだ定かではないところがありますので、県から情報をいただきながら検討していきます。

 

(9)市民団体から仙台市に対し、市内での汚染廃棄物の焼却を行わないようにとの要望があった。今後も同様の要望があると思うがどのように説明していくのか

申し入れをいただいたことは十分重く受け止めています。また内容については私も読ませていただいています。今回は、あらためて試験焼却に限って検討している段階であり、試験をしたから自動的に本番に入るということではないということを、きちんと申し上げておきたいと思います。段階を踏んで進んでいくので、その時その時にわれわれが判断している根拠、また状況についてオープンにして、市民の皆さまを中心に議会のお声をいただきながら、相互のやりとりのプロセスを踏んでいくということだと思います。市民の方に安心していただくことや、隠されているものがない状況であることが何よりも大事だと思っています。

 

(10)村井知事は県内全市町村で協力して汚染廃棄物の焼却処理に取り組む考えだが、市長はどう考えるか

第一義的には、汚染廃棄物発生の責任はあくまでも東京電力であり、また国の方に処理の責任はあるべきだと思います。ただ現状として8000ベクレル以下については自治体が処理をするという定めが国会でなされたところです。

県内のこれまでの状況を見ますと、風がどちらから吹いたとか、どこで雨が降ったなどの気候状況によって、自治体によって汚染廃棄物の現状に格差があるわけです。その自治体が何か不作為なり、するべきことをしないでそういう結果に至っているわけではなく、自然現象と、国と東電による事故、つまり自治体の責任ではないもので大変困った状況が続いている中で、宮城県という1つの行政エリアの中のわれわれが、相互に連携してできることはないかという観点からの知事の1つのご提案だと思います。

もちろん焼却以外にも、すき込みなどいろいろな方法があって、それを実施していけるのであれば当然やっていただくことが必要だと思いますが、できない場合の方策の1つとして、今回の知事のご提案もわれわれとしては真摯(しんし)に考えるということだと思います。ただ、そのためには丁寧にステップを積んでいく必要があるだろうと思っています。

 

(11)現実的な処理能力を考えると仙台市の役割は重要だと思うがいかがか

本格焼却に向けてどのようになるのかは、全く未定だとしか申し上げられないと思います。会議でも一部の自治体の方からお話がありましたが、県も本格焼却についてはあくまでも試験焼却の結果を見てということでした。県も例えば汚染廃棄物をどう移動させるか、どの施設でどう焼却するかなどということには、全く触れていません。検討はその段階にまで至っていないと私としては考えます。

また一方で、加美町長や登米市長からは、現地で処理するものが一定量あり、処理方法についてもいろいろ努力していきたいというお話がありました。例えば、堆肥化による減量や、すき込みなど具体的におっしゃっていましたが、現在汚染廃棄物を抱えていらっしゃる自治体からもそれぞれ努力をするというご発言がありましたので、トータルの処理がどのようになるかは、現時点では想定できる段階になっていないと思います。

 

(12)先日、南蒲生浄化センターの沈下原因と対策について日本下水道事業団から市に報告されたが、改修費用7.2億円の負担について市長の考えを伺う

当日、建設局長が市としてはまだ引き取っていない施設であるし、下水道事業団に事業委託をした経緯を考えても、下水道事業団でご負担いただくべきではないかという発言をしていたと思いますが、基本的な考え方は私も同じです。

ただ、下水道事業団では市も一定の負担をすべきであるとおっしゃっているので、その根拠についてどのようにお考えなのか。われわれも検討委員会を設置していますので、報告書などをよく精査しながら、市の責任とすべき何かを事業団はどう考えていらっしゃるのか事務的にもしっかり確認させていただいたうえで、あらためて事業団とお話をすることになると思います。

 

(13)市としても年内に方針を出したいということだったが間に合うのか

今回、下水道事業団から報告書をいただきましたし、われわれもこの間、現場的に分かりうることを精査してきました。今まで持っている知見と下水道事業団の今回の報告書を突き合わせてやっていくことですので、そんなに時間はかからず年内に判断することは可能ではないかと思っています。

 

(14)今年は仙台市内でクマの出没が多いが、何らかの対策はあるのか

今年はクマの出没が非常に多く、住宅団地にもクマが出ています。経路としては西の山の方から緑のベルト地帯を伝って最末端の住宅地に出ると聞いています。緑のベルトや広瀬川の河原を伝って上流から下流に下りてきているのではないかという話も聞きます。クマは緑や川などの自然空間から離れたところを長距離にわたって移動してくることは考えられませんので、遭遇する要素が高いと思われる地域については、今までも学校などを中心に、気をつけるよう呼びかけるとか、登下校のルートを緑から離すように工夫しています。こちら側でなるべく対応能力を高めるしかないと思います。

 

(15)政府が国家戦略特区内の小規模保育施設で3歳以上の子どもの受け入れを可能とする方針を示したようだが、実現した場合に仙台市でも取り組むのか

報道で承知しているだけで、具体に国家戦略特区としてどうなるのか最終的な情報は得ていませんが、私としてはいくつか確認すべき点があると感じています。

小規模保育施設は面積も限定的ですし、年齢構成も当然少ないわけです。3歳以下の子どもたちが限られた範囲で小規模保育の良さを生かしていくことは、私の子どももそういった場所にいたことがありますので、良いものだと思っていますが、4歳、5歳児など運動量が大きくなる子どもたちが同じ小規模な空間にいて保育を両立させることが可能なのか。また4歳、5歳になると、多様な遊びや多様な性格の子どもたちと触れ合うことによって仲間づくりをし、いろいろな子どもがいることをお互いに受け入れていくなど、集団に入って行動、生活する意味が0歳、1歳の頃より高くなると思うのですが、同年齢の子どもが比較的少ない人数構成の中で、果たして集団保育として意味のある活動ができるのかなど、自分が子どもを育てたときの経験も踏まえていくつか疑問があります。

国家戦略特区に盛り込むこと自体は、東京などいろいろなケースがありますので否定するものではありませんが、仙台ですぐにエントリーするかというと、私自身が持つ疑問もありますので、待機児童対策として仙台でそこまで踏みこむ必要性があるか、われわれが子どもにとって良いことであるという自信が持てるのかも含めて、慎重に検討する必要があると感じています。

 

仙台市長 奥山 恵美子