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更新日:2021年2月8日

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令和3年度施政方針要旨

令和三年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

昨年の年初より、世界は新型コロナウイルス感染症と闘ってまいりました。国を挙げて対策を行う中でも感染症の収束は見通せず、市民の皆さまの不安は増し、地域の経済情勢も極めて厳しい状況にございます。
私は、この一年間、安全と安心の確保が都市政策の根幹であること、人と人のつながりや人を思いやることの価値を改めて実感いたしました。家族や友人との心弾む時間、地域の方々とのふれ合い、仕事や学びの場での新たな出会いや、賑わいを生み出す多彩な交流。日常を織りなすこれらの営みこそが、市民の皆さまが生き生きと暮らし、活躍できる都市の基盤であると考えます。コロナ禍による分断ともいわれる状況を乗り越え、安心して暮らせる日常を一刻も早く取り戻す、そのために市役所の総力を結集してこの難題に挑む覚悟です。
何よりもまず、市民の皆さまの命と健康を守ることを最優先に、感染症拡大防止策と医療提供体制の確保、ストレスへの心のケアなどの手立てを躊躇なく実施いたします。とりわけ、ワクチン接種は市民の皆さまの安全確保に向けた極めて重要な一手であり、全力で取り組んでまいります。
そして、地域経済の中核を担う地元企業の方々こそが、市民生活の安定、さらにはこのまちの活力創出の要です。経済・交流活動に大きなブレーキがかかる中、事業継続の支援や域内の経済循環、販路拡大支援といった地域経済の回復に向けた施策に加え、消費者ニーズの変化に応じたビジネスモデルの創出や戦略的な観光振興を進めてまいります。
コロナ感染症はまさに国難であり、国や県、市がそれぞれの役割を適確に果たしながら、全市一丸となって対策に取り組まなければ収束を実現することはできません。市民の皆さまに対しましては、まずはご自身の命を守ること、そして大切な家族や友人の命を守ること、そのための日々の細かな取り組みを積み重ね、思いやりを持って、感染症対策を継続していただきますよう、私から改めてお願い申し上げます。私は、あの東日本大震災という苦難の中で復興の道程を切り開いた市民の皆さまお一人おひとりの力、地域の絆を信ずるものです。百九万市民の皆さまとともにコロナ禍を乗り越えてまいりたいと存じます。
一方で、震災から十年が経過する中、都心部では市役所本庁舎の建て替えや仙台駅周辺の大規模な民間開発、仙台らしさを活かした都心まちづくりの核となる定禅寺通の活性化など、本市の未来を形作るプロジェクトがスタートを迎えます。私は、コロナ禍への対応に注力する中にあっても、中長期的視点に立って未来への投資を積極的に行い、本市の持続的な活力を創出してまいります。そして、仙台の未来は東北とともにあるとの認識のもと、心を合わせて震災を乗り越えてきた東北全体の発展につなげてまいりたいと存じます。
令和三年度から始動する新たな基本計画、その理念は「挑戦を続ける、新たな杜の都へ~“The Greenest City” SENDAI~」。社会情勢や価値観の変容に柔軟に対応し、変革とチャレンジを続けながら、人との絆や先人が築き上げてきた杜の都の風土を未来へ引き継いでいく。これを市政運営の軸に据え、都心再構築や脱炭素都市づくり、歴史と文化が息づくまちづくりなど、仙台のポテンシャルをさらに高め、世界からも選ばれる希望あるまちへの挑戦を始めます。
そして、こうした挑戦こそが、私が市長就任以来掲げてきた「まちの中心は人」という信念に通ずるものであり、全ての市民の皆さまが輝き、とりわけ、このまちの未来を担う子どもたちが健やかに育まれ、将来への夢を抱くことができる仙台の実現につなげていかなければなりません。
このような考えのもと、新年度におきましては、「社会変化を力に変えるまちづくり」、「人のつながりが育む豊かな地域づくり」、「杜の都の可能性を広げるまちづくり」の三つを柱に据え、市議会をはじめ、市民の皆さまとともに、各般の施策を推し進めてまいります。

新年度における施策の第一の柱は、「社会変化を力に変えるまちづくり」です。
新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図る中で、テクノロジーを積極的に活用しながら、活力創出へとつなげるチャレンジを進めてまいります。
新たに「デジタル戦略推進室」を設置し、全庁挙げて「デジタル化ファストチャレンジ」を着実に遂行するとともに、六月を目途に「(仮称)仙台市DX推進計画」を策定するほか、スーパーシティの実現に向けた取り組みを進めるなど、様々な環境の中で人と人が容易につながり、誰もが住みよさを実感できるよう、暮らしにデジタル技術を織り込みます。
行政手続きのデジタル化に向けては、添付書類の簡素化やキャッシュレス決済の導入を図るとともに、証明書等の交付手続きを窓口に行かなくてもスマートフォンなどで申請できるようにする実証実験に取り組みます。
また、オンラインを活用した子育て相談などができる体制づくりと併せ、市役所の内部事務においても、WEB会議の活用によるコミュニケーションの活性化やRPAなどのツールを活かした業務の効率化を進め、市民サービスの向上につなげます。
社会環境の変化を市役所改革の契機と捉え、新たな経営プランの策定を通じて、デジタル化や業務プロセスの最適化などを含め、事務事業の見直しを徹底し、限られた経営資源を最大限に有効活用できるよう、実効力のある行財政改革を加速します。
国家戦略特区や企業等との連携窓口であるクロス・センダイ・ラボなどにより、民間の創意工夫を活かしたまちづくりを進めるとともに、ガス事業の民営化については、令和四年度中の事業譲渡に向けた準備を着実に進めます。
地域経済の再生と活性化に向けては、感染症の影響を最小限に食い止めながら、企業の業態転換や新たな事業の創出を目指すこととし、まず、中小企業への資金繰り支援や商店街の売り上げ向上などの域内経済循環につながる事業を展開するとともに、経済団体と連携した啓発運動などを通じて、地元企業の感染拡大防止に向けた取り組みを支えてまいります。
社会の変化に対応したビジネスの成長モデルをつくるため、業態転換やICT技術の活用等により新規プロジェクトにチャレンジする事業者への支援、AIを活用した付加価値の高い新たな事業の創出に取り組みます。
非正規雇用で働く就職氷河期世代を対象としたスキルアップ研修や地元企業とのマッチングイベントを開催するとともに、コロナ禍に対応した採用・就職活動の支援を継続するなど、地元定着に向けた取り組みを進めます。
農業につきましては、女性農業者のネットワークづくりなど次世代の多様な担い手の確保・育成に取り組むほか、学校給食向けの環境保全米の生産支援や水稲の直播栽培の導入促進、地産地消に関する情報発信の強化を図ります。
観光分野については、コロナ禍を踏まえた、多様な観光データの収集・分析を戦略的なプロモーションにつなげるデジタルマーケティングに取り組むとともに、外国人視点による観光コンテンツの磨き上げなど、誘客促進に向けた環境整備を進めます。また、東北デスティネーションキャンペーンや東京オリンピック・パラリンピックを契機とした東北の魅力発信を通じて、仙台・東北への来訪意欲を喚起し、社会情勢を見極めながら交流人口の回復に取り組みます。
文化芸術は、コロナ禍においても市民の皆さまの心を癒し、活力をもたらす重要な役割を担っており、文化芸術の新しい試みに対する助成などを通じてさらなる振興を図ってまいります。

第二の施策の柱は、「人のつながりが育む豊かな地域づくり」です。
子どもたちや子育て世代、高齢者など幅広い年代の方々がつながり、支え合いながら、心豊かに暮らせる地域づくりが重要であり、その環境整備に力を尽くします。
「(仮称)仙台市教育構想2021」のもと、子どもたちが、社会の変化に対応しながら、たくましく、しなやかに自立する力を育んでまいります。
一人一台の端末を活かした先導的な学習モデルを実践するGIGAスクール推進校の設置や、全小中学校への指導者用デジタル教科書の導入など、ICTを最大限に活かした学びの環境づくりに取り組みます。
子どもたちの自己肯定感や自立心を高めるため、仙台自分づくり教育を推進するとともに、教員が子どもたち一人ひとりと向き合い、きめ細かな指導が行き届くよう、国の計画に先行して、三十五人以下学級を小学校三年生に拡充いたします。
不登校対策については、在籍する学級に入りにくさを感じている生徒の居場所となる「ステーション」の設置校の拡充やICTを活用した学習支援を行うなど、多様な学びの選択肢を確保します。
いじめの防止に向けては、いじめ対応の中心を担う児童支援教諭の配置校を百十四校に拡充するなど支援体制を充実させることに加え、専用ホームページを立ち上げ、社会全体で子どもたちを守る意識を醸成します。
コロナ禍にあっても、安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりを進めるため、区役所やのびすく等におけるオンラインを活用した相談体制を整備するとともに、様々な悩みを持つ方が気軽に相談できるよう、SNSを活用した相談窓口を設置します。
切れ目のない子育て支援のさらなる充実に向けては、不妊症・不育症に悩む方々への支援を拡充するとともに、保育施設の一時預かり等において多胎児の保護者の負担軽減を図るほか、保育の質の向上にもつながる保育施設のICT化を推進します。また、ひとり親家庭に対して、家庭生活支援員が家事などの支援を行う派遣の要件を緩和するとともに、要保護児童など支援ニーズの高い子どもには、訪問による見守りの強化を図るなど、家庭の状況に応じたアウトリーチ支援を通じて、必要な支援が届く環境を構築してまいります。
子どもの遊びの環境づくりとして、都市公園等における実証実験を行うことに加え、スマートフォン等を通じた子育てに関する情報発信の充実を図り、子ども・子育てを応援する輪を広げます。
もとより、市民の皆さまが心豊かに安心して暮らせる地域づくりこそが、まちづくりの基本です。地域づくりのパートナーである様々な活動主体と手を携え、連携の輪を広げながら、課題の発掘・分析、担い手の育成・強化、具体の協働事業の実施に至るまで、それぞれのプロセスに応じた支援を包括的に行う「地域づくりパートナープロジェクト」を区役所が中心となって展開します。
市民の皆さまの移動手段の確保については、地域交通の運行支援対象地区を広げるとともに、鉄道や路線バス、地域交通などの適切な組み合わせや利用者目線による路線・ダイヤの改善など、持続可能な公共交通ネットワーク形成に向けた地域公共交通計画の策定に取り組みます。
地域で安心して生活できるよう、高齢者への生活支援・介護予防サービス提供体制の整備などに加え、地域福祉の重要な担い手である民生委員児童委員をサポートする協力員制度の試行など、地域で支え合うネットワークの充実を図ります。

第三の柱は、「杜の都の可能性を広げるまちづくり」です。
杜の都を象徴する歴史や文化、自然など様々な市民共有の財産を、五十年後、百年後のこの地に住まう方々のために、より魅力ある形で継承してまいります。
仙台はじまりの地ともいえる青葉山地区においては、市街地及び本丸跡から見た歴史的眺望「政宗ビュー」の実現に向けた自然と調和した城郭らしい景観づくりを進め、エリアの価値を高めるとともに、大手門復元に向けた基礎調査を開始します。
令和五年度の開催を予定し、青葉山公園追廻地区等をメイン会場とする全国都市緑化フェアに向けましては、実行委員会の設立や実施計画の策定に取り組むとともに、青葉山公園の(仮称)公園センターや中央広場等の整備を本格化させるほか、広瀬川散策路等の整備も進めてまいります。
また、緑の多様な役割に着目し、グリーンインフラを活かした快適で魅力あるまちづくりを行うため、民有地や公共空間での質の高い緑の創出を誘導するガイドラインを策定します。
東部沿岸地域では、海辺の魅力発信や地域住民との交流を通じたアート作品の制作を進めるほか、民間施設の立地なども踏まえ、地域一帯の回遊性向上に向けた調査を行います。
新たな都市計画マスタープランのもと、都心・泉中央・長町の地域別構想を策定し、地区の特性を活かしたまちづくりにつなげるとともに、適正な土地利用を図るため、立地適正化計画の策定に向けた検討を進めます。
都心再構築に向けては、民間開発や企業立地を一層促進させるとともに、居心地がよく巡り歩きたくなる都市空間形成を目的とした「まちなかウォーカブル推進事業」を実施します。
青葉通エリアや仙台駅東エリアなどにおいては、民間主体によるエリアマネジメントの取り組みを支援するなど、新たな賑わい創出の機運を高めてまいります。また、杜の都・仙台の都心活力創出の鍵となる定禅寺通の活性化に向け、「勾当台・定禅寺通エリアビジョン」の策定や、交通規制を伴う大規模な社会実験の実施など、エリアの個性を活かした賑わいづくりと都市空間の創出に積極的に取り組みます。併せて、新たな市役所本庁舎における低層部などへの民間活力の導入可能性調査や勾当台公園再整備の基本構想・計画の策定を進めてまいります。
また、都心部などにおいて、情報通信技術を活用し、複数の移動手段や飲食店等の検索・予約・決済を一括して行うMaaSの導入に着手いたします。
楽都・仙台の拠点として未来のまちづくりに必要な音楽ホールにつきましては、コロナ禍に伴う社会経済情勢などを見極めながら、検討を進めてまいる考えでございます。
都心を中心とした経済活力を創出するため、次世代放射光施設を中核としたリサーチコンプレックスの形成を目指すとともに、テレワーク等に活用できるオフィスフロアの東北大学片平キャンパスへの整備やオンラインを活用したプロモーションにより、企業誘致を推進します。
さらに、開業手続きのオンライン申請を支援するワンストップセンターを開設するほか、スタートアップ・エコシステム拠点都市への選定を弾みに、東北全域の起業家を対象とした集中支援プログラムや産学官金が一体となって多彩な起業家を育む環境づくりに取り組み、仙台・東北の社会課題解決やイノベーションの創出につなげてまいります。
世界規模で環境問題への関心が高まる中、新たな杜の都環境プランのもと、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた取り組みを着実に推進いたします。
環境に配慮した「グリーンビルディング」の整備促進や、温室効果ガス削減アクションプログラムを通じた事業者の脱炭素化に取り組むとともに、快適でエネルギー性能の高い住宅や省エネ家電の普及を図るなど、家庭からの温室効果ガス排出削減を進めます。
国に先駆けて取り組んでいる製品プラスチックの一括回収・リサイクルの実証事業について、五カ所に拡充して全区で実施するほか、食品ロスの削減に向けては、事業者との協働のもと、啓発を強化するとともに、家庭の未利用食品をフードバンク等に提供するフードドライブ活動の拡充を図るなど、資源循環都市づくりを推し進めます。
そして、震災から十年が経過する今もなお、心身に不安を抱え、支援を必要とする方々がおられますことから、お一人おひとりに寄り添った心の復興などに引き続き取り組んでまいります。また、震災の経験と教訓を未来へ継承していくという本市の使命を果たすため、仙台防災未来フォーラムなど様々な機会を通じた発信を続けるとともに、中心部震災メモリアル拠点の整備に向けた検討を進めます。併せて、「危機管理局」を設置し、感染症の拡大を含め様々な危機事案への対応力を強化することで、安全安心に暮らせる防災環境都市・仙台としての確たる地位を築いてまいりたいと存じます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
コロナ感染症との闘いに一日でも早く終止符を打つ、新年度はこのことを最優先に取り組み、市議会の皆さま、市民の皆さまと力を合わせ、心穏やかに笑顔で過ごせる日々を取り戻してまいりたいと存じます。
令和三年度は、基本計画をはじめとして、都市の基盤づくりや身近な暮らしを支える分野などの様々な個別計画が初年度を迎える、まさに新しい仙台のまちづくりがスタートする年です。この間、私は地域づくりを最前線で担う方々や経済活動を支える方々、学生の皆さまなど、幅広い世代や立場の方々からのこのまちへの想いを受け止めてまいりました。ともに描いた未来を実現するため、全ての職員が高い使命感を持ち、その力を十分に発揮するとともに、私自身が先頭に立って、市民の皆さまと新たな杜の都に向けた第一歩を踏み出してまいります。
議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 郡 和子     

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