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更新日:2020年2月7日

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令和2年度施政方針要旨

令和二年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

平成から令和へと時代が変わり、いよいよ夏には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。この大会は復興五輪とも位置付けられており、世界中の目が我が国に集まるこの機会に、本市の復興の姿を発信していくことが求められます。
第三回国連防災世界会議において採択された防災指針である「仙台防災枠組」にその名を冠する本市は、未曽有の震災からの復興に向け、市民の皆さまと心を合わせ、困難を乗り越えながら道なき道を歩んでまいりました。私は、復興の過程の中で発揮された幾多の力こそ、本市の確かな財産であると改めて実感するとともに、仙台の未来を希望へとつなぐ原動力は、市民の皆さまお一人おひとりの中にあると確信するものです。
新年度は、新たなまちづくりの指針となる新総合計画を策定する年です。希望ある未来のビジョンを市民の皆さまと描き、ともに新たなスタートラインへと踏み出すべく、私は新年度を未来志向のまちづくりに向けたチャレンジの年としたいと思います。年齢や性別、障害の有無、国籍などの枠にとらわれず、全ての人々に自分らしく活躍する場があり、多様な知恵や経験から新たな価値を生み出す、そのような新しい時代を切り開いてまいる所存です。
まず、本市の未来を担う若い力をしっかりと育んでまいります。
そのためには、無限の可能性を秘める子どもたちの個性を尊重する環境づくりが重要な鍵となります。一人ひとりの児童生徒の個性や発達に応じた学びの場を保障するため、不登校対策をはじめ多様な教育環境を充実いたします。併せて、子どもの成長段階に応じた支援と、地域をあげて子どもを守り育てる社会の構築により、「子育て応援のまちづくり」に全力で取り組みます。
また、若者の感性とパワーに満ち溢れた「学都・仙台」のポテンシャルを本市の活力創出につなげるため、暮らし、働く舞台として多くの若い世代を惹きつけていくとともに、若者の視点を施策に活かし、創造の文化が息づくまちづくりを進める考えでございます。
都市活力創出の観点では、次世代放射光施設の整備や都心の再構築など、復興の次のステージに向けて躍動を始めた仙台に対する期待感を実感しており、この機運を逃さず、積極的に施策を展開してまいります。
先端技術を活用した成長産業の集積や新しい価値を創出する起業家の育成、多様な人材が活躍できる環境の整備などにより、仙台発のイノベーションを生み出すとともに、都心への投資の呼び込みに向けて、オフィスニーズ調査等を踏まえた実効性のある支援策を「せんだい都心再構築第二弾」として打ち出し、企業立地をさらに促進します。
また、杜の都を象徴する勾当台地区は、仙台駅周辺と並び、定禅寺通活性化や市役所本庁舎建て替えなどの重要なプロジェクトが集中する本市都心の拠点であり、この時機をとらえ、「(仮称)勾当台ビジョン」を策定し、エリア全体の魅力を創出します。
さらに、ガス事業の民営化については、安全で安定的なガスの供給を確保しながら、民間の創意工夫を活かした市民サービスの向上に取り組み、地域経済の活力創出につなげてまいります。
もとより持続可能なまちづくりは、人を育み、まちを支える基盤です。世界的に環境問題への対応が重要度を増す今、市民の皆さまとともに美しく住みよいまちを育んできた、杜の都のアイデンティティを見つめ直す必要があると考えます。そのため、「杜の都の環境をつくる条例」制定五十周年の節目となる令和五年度に向けて、「全国都市緑化フェア」の開催を目指し、緑豊かな潤いのあるまちづくりをさらに推し進めます。また、事業者との連携による温室効果ガス削減を着実に進めるとともに、プラスチックの新たな資源循環システムの構築に向けた一歩を踏み出すなど、未来を見据えた取り組みを推進します。併せて、地震や近年多発する風水害など様々な災害への対応につきましては、都市の強靭化に取り組むとともに、次の世代へ経験や知見を継承してまいります。
身近な暮らしといった視点からは、高齢者や障害のある方々など誰もが地域の支え合いにより、安心して暮らし続けることができる地域づくりが重要であり、包括的な生活支援体制の整備や地域交通の確保、先端技術を活用した新たな取り組みを進めます。
このような考えのもと、新年度の主題を「多様な力で未来を創る、新たな杜の都への挑戦」とし、市民の皆さまとともにチャレンジを続けてまいります。

新年度における施策の第一の柱は、「若い力が育ち、活躍するまちへの挑戦」です。
子どもたちが健やかに成長し、自らの能力をいかんなく発揮することが、このまちの創造性や活力を生み出す、そのような好循環を目指し、若い力を育み活かすまちづくりを進めます。
まず、児童生徒の多様な学びの機会の確保や「心の居場所づくり」に力を尽くしてまいります。増加する不登校の児童生徒に対する学校以外での学習や体験活動の場を充実するため、「杜のひろば」を増設いたします。また、学校訪問対応相談員を増員し、別室での学習や創作活動など、学校においても個々の状況に応じた支援の充実に努めます。
特別支援教育の推進につきまして、読み書きに困難がある児童のつまずきを早期に把握し、改善につなげるよう、新たな指導パッケージの導入や教職員への研修を実施するほか、病気療養中の児童生徒への学習環境の整備として、ICTを活用した遠隔教育を新たに実施します。
いじめの早期発見・対応につきましては、法律や心理などの専門家を中心とした相談窓口を新たに設置し、子どもや保護者に寄り添った対応をするほか、スクールロイヤーの助言のもと、いじめ対策ハンドブックを改定するなど、いじめは決して許さないという意識を持ち、取り組みを進めてまいります。
高度情報化社会に対応できる人材の育成に向け、小学校における新学習指導要領の実施に合わせ、プログラミング教材を整備いたします。 
子どもの健やかな成長に向け、保護者や地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールを順次導入し、地域全体で子どもを支える社会の構築を目指してまいります。
次に、誰もが安心して子育てができるまちづくりについて、新年度からスタートする新たな「仙台市すこやか子育てプラン」のもと、各般の取り組みを進めます。
子ども医療費助成につきまして、より幅広い子育て家庭の経済的負担を軽減するため、所得制限基準の緩和を進めてまいります。また、切れ目のない子育て支援に向け、各区役所及び宮城総合支所に、新たに「子ども家庭応援センター」として、子ども・子育て家庭に対するワンストップの総合的な支援体制を構築いたします。そのほか、五歳児を対象とした発達相談の実施や、乳児期からのむし歯予防のためのフッ化物塗布への助成など、妊娠期から出産・子育て期にわたる支援を充実します。
子どもの安全・安心の確保につきましては、児童虐待へのより迅速かつ的確な対応を図るため、児童相談所における児童福祉司の増員と一時保護の受け皿の拡充を実施します。
そして、若者が市政に参画しやすいまちづくりです。「(仮称)まちづくり若者会議」として、学生などを対象としたワークショップを開催するほか、これまで実施してまいりました市民協働事業提案制度について新たに若者を対象とする募集枠を設け、若者の感性やアイデアを積極的に取り入れる環境づくりに取り組みます。
若者の地元定着も喫緊の課題です。地元企業と大学との連携を強化しながら、その魅力発信やインターンシップ促進に向けたイベントを開催するほか、高校生についても地元企業の仕事を体験できるフィールドスタディ事業を新たに実施してまいります。

第二の施策の柱は、「創造と可能性への挑戦」です。
東北の中枢である本市は、東北と世界を結ぶゲートウェイです。新たな支援策による企業立地のさらなる促進や賑わいの創出など、都心の機能強化を推進するとともに、音楽ホールにつきまして、「楽都・仙台」がこれまで育んできた音楽文化をさらに発展させる拠点としてふさわしい施設となるよう、基本構想の策定に取り組んでまいります。
青葉通仙台駅西口におきましては、今後想定される民間開発も視野に入れながら、公共空間のあり方の検討に着手します。また、複数の大型プロジェクトが進む勾当台地区についてのエリアビジョン策定を進めるとともに、定禅寺通活性化に向けた大規模な社会実験を実施いたします。さらに、定禅寺通と接続する東二番丁通や西公園通におきましても、居心地がよく歩きたくなる都心を目指し、歩行者空間の整備に向けた検討を開始いたします。
市役所本庁舎建て替えにつきましては、基本設計を進めるとともに新本庁舎低層部の民間活力導入に向けた調査を行うほか、勾当台公園の再整備方針の策定に着手するなど、このエリアを形作る具体的な取り組みを進めます。
次世代放射光施設の稼働まであと三年余りとなりました。仙台・東北の産業におけるイノベーションや新たな付加価値を生み出す大きなチャンスです。企業が持つ先端技術の実用化等に向けた施設の利活用を促進するとともに、研究開発拠点や関連企業の集積、高度人材の定着に資する効果的な支援策を検討し、積極的な誘致活動に取り組んでまいります。
また、地域経済活性化のためには、新たなビジネスモデルやイノベーションを創出する企業を次々に生み育てる仕組みづくりが不可欠です。産学官金が一体となって、起業家の新たなチャレンジを後押しするスタートアップ・エコシステムを構築し、日本を代表するスタートアップ拠点都市を目指します。
地元企業成長の応援として、集中的な上場支援を行う「仙台未来創造企業創出プログラム」の実施や、地元百貨店との連携により、地域ブランド「都の杜・仙台」を通じた販路開拓を進めるなど、地域経済を牽引する企業の輩出に向け引き続き支援してまいります。
さらに、これらの経済施策が首都圏をはじめとした域外からの人材確保・投資の呼び込みにつながるよう、発信力の強化に取り組みます。
本市ガス事業につきましては、事業継承者の募集開始から優先交渉権者の決定まで、民営化に向けた具体的な取り組みを進めます。
農業につきましても、若手をはじめとした従事者の皆さまが、時代に沿った新たな農業へと希望を持ってチャレンジできるよう、農産物のブランド化や六次産業化に向けた伴走型の支援、次世代の担い手育成、農業法人の経営力強化などに引き続き取り組むとともに、震災で被災した東部農地におきましては、大規模ほ場整備の仕上げの年といたします。
東京オリンピック・パラリンピックの開催にあたりましては、これまで交流を重ねてきたイタリアの事前キャンプ受入れなど、ホストタウン事業によりスポーツ・文化を通した絆を一層深め、地域スポーツや障害者スポーツの活性化、異なる文化や障害への理解の促進など、市民の皆さまとともに次の世代へとつながるレガシーを築いてまいります。
併せて、世界中から日本に注目が集まるこの機会をとらえ、復興の状況や仙台・東北の魅力を発信し、令和三年に予定される東北デスティネーションキャンペーンも見据えながら、仙台ならではのコンテンツの磨き上げや、ターゲットを明確化したプロモーションを推し進めるなど、財源の確保も図りつつ、さらなる交流人口の拡大を目指します。

第三の柱は、「自然と共存する防災環境都市づくりへの挑戦」です。
本市は東日本大震災により被災した東北唯一の百万都市として、震災の経験や教訓を発信してきました。当時の記憶を風化させないためにも、次の世代へと語り継いでいく責務を果たしてまいります。
まず、本市中心部震災メモリアル拠点の整備につきましては、年内に基本構想を策定し、震災の経験を未来へ伝える新たな核として、その具体化に向けて着実に取り組みを進めます。
また、震災から十年となる今だからこそ残せる思いを紡ぐため、市民の皆さまによる復興の取り組みや様々な声を改めて発信するとともに、市役所における職員間伝承プログラムの構築などの取り組みを進めてまいります。併せて、防災を学び、日頃の活動を発信できる仙台防災未来フォーラムにつきまして規模を拡大して開催いたします。
もとより被災された方々への支援につきましても、心のケアを含む健康支援などお一人おひとりの状況に応じた支援と、復興公営住宅におけるコミュニティ活性化に引き続き取り組んでまいります。
大規模自然災害への備えにつきましては、昨年の台風第十九号をはじめ、近年急増している集中豪雨に起因する都市型水害への対策として、仙台駅西口地区等における浸水被害軽減のための排水能力強化を推進するほか、防災・減災と迅速な復旧復興に資する施策の総合的かつ計画的な実施に向けて、国土強靭化地域計画を策定します。
杜の都の環境づくりに向けましては、事業者との連携による温室効果ガス削減アクションプログラムの取り組みなど、昨年制定した条例に基づき、世界的な課題となっている地球温暖化対策を着実に進めてまいります。また、プラスチック資源循環の推進として、使い捨てプラスチックの使用抑制キャンペーンや、荒浜地区における大規模な海岸清掃活動などにより市民の意識啓発を図るほか、製品プラスチックのリサイクル実証事業も新たに実施します。「全国都市緑化フェア」の誘致に向けては、学識経験者等からなる懇談会を設置し、基本構想の策定に着手いたします。

第四の柱は、「暮らしを守る安全・安心への挑戦」です。
誰もが生涯にわたり、地域で安心して暮らすことができる支援体制の充実が求められています。
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、共通する地域課題の把握・分析や、支援の担い手である団体間での連携強化などの役割を担う生活支援コーディネーターを配置し、地域包括ケアシステムのさらなる体制強化を図ります。また、高齢者等の通院負担の軽減が期待されるオンライン診療の普及に向け、その有用性や安全性を検証するため、国家戦略特区のオンライン服薬指導を組み合わせた実証実験を開始いたします。
さらに、ひきこもり状態が長期化した中高年の方々の社会参加の促進に向けて、居場所づくりなどの支援プログラムを実施します。
人口減少と高齢化が進展する西部地区においては、民間事業者等と連携し、先端技術を活用しての課題解決に向けたモデル事業に着手いたします。
また、日常生活を支える移動手段の確保につきまして、地域の方々、運行事業者、行政の三者協働による地域交通支援事業に引き続き取り組むとともに、燕沢地区での実績を踏まえ、支援内容を拡充し、他地域へも展開してまいります。

最後に「市役所経営への挑戦」です。
変化の激しい時代にあって、市民サービスを持続的に提供しながら、その質の向上を図っていくためには、社会情勢の変化を的確にとらえ、前例にとらわれない市役所経営が不可欠と考えます。
そのためには、企業の知恵やテクノロジーを最大限に活用することが重要です。昨年十一月に開設した公民連携窓口「クロス・センダイ・ラボ」による民間企業のノウハウの活用とともに、RPA、AI等の先端技術の導入による事務の効率化や市民サービスの利便性の向上など、限られた人材等の資源を有効に活かすための取り組みを進めます。
また、職員一人ひとりが公務員としての責務を深く自覚し、全力で職務にあたるよう改めて意識の浸透を図るとともに、様々な地域課題に対し柔軟かつ果敢に挑戦すべく、人材育成基本方針を改定し、時代の変革に即応しながら市民の皆さまの信頼と期待に応えていくことができる職員の育成を進めてまいりたいと存じます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
藩祖伊達政宗公が、東北の地で受け継がれた伝統的な文化を土台としながらも、上方やさらには海外の文化を積極的に取り入れて伊達文化を華開かせたように、多くの先人たちの先見性ある知恵と力がこのまちを築き上げてきました。
私は、多様な人々のチャレンジ精神が発揮され、輝き続けるまちとして仙台を次の時代へと引き継いでいくことが、東日本大震災の苦難を乗り越えて今、ここに生きる私たちに課せられた使命であると考えるものです。百九万市民の皆さまとともに、希望ある未来への確かな道筋を打ち出してまいります。
議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 郡 和子     

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