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更新日:2016年9月20日
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TPPへの参加を政府がかなり早期に表明していることは報道などで認識しています。東北市長会として慎重にという要望を出していますけれども、被災地にとって農業を中心とした産業の復興が大変大きな課題であるというのはご承知のとおりです。
我々は早期の回復に向けていろいろ作業を進めているわけですが、TPPに参加することによって、結果として我々が今、復興の前提条件としている要件が大きく変わってくるのではないかという懸念を持っています。今回特に農業が大きな打撃を受けていますので、我々も農業の復興を目指している中で、今後大規模化などをして、いろいろ農業者の方々もご苦労されて復興したけれども、その時に今想定している状況と復興後の日本農業をとりまく状況が大きく変わってしまったというのでは、全く目標が違ってきます。
その中での復興となってしまいますので、その辺について政府の方で今後の産業を強くするはっきりとした方向性を示していただいた上で、安心して、国民、県民が参加を受け入れられるような状況を整えていくべきではないかと思っています。
現状では、我々がお話を申し上げた、慎重にというほどの時間的な猶予を、今、政府の方では準備されているようには思えない状況だという認識がございます。
もし参加して協議していくということであれば、やはりその先のことも併せてお示しをいただいて、政府として具体的な、特に我々が被災地で心配している農業を中心とした産業力強化のようなことをどう考えた上で、今の時期にあえて我々が望むよりも早期に作業を進めていくのかということについても、説明をしていただきたいと思っています。
今回、最終的な津波シミュレーションの案をお示しする中で、中間案では危険区域に入っていた地区で、除外されたところが2カ所あります。それらの地区も含めて、危険区域以外のところでも、自分達はここではないところへコミュニティを移したいとか、また個人としても、この地域以外に再建したいというご希望などいろいろあると把握しています。
現地での再建または移転への合意が100%でなければ、事業を実施できないということでは、なかなか合意を形成していくのは、それぞれの事情で難しいものも出てきます。なるべく多くの方が参加いただけるような事業の枠組みをお示ししながら、そして個別の判断をされる方にも仙台市として一定の何かのご支援ができるような独自策などについて早急に詰めていきたいと思っています。
ご承知のとおり防災集団移転は国の事業として国費が充当される枠組みがあります。
ただし、集団移転先とは別に、個人で自分の望ましい地区に出たいとおっしゃる方もいらっしゃいます。集団の事業には集団なりの大きな国費が入った中での枠組みになりますが、単独での方にも一定の何かできることはないかということで、事務方でさらに検討を深めるように指示しています。
いろいろなケースがあり、それぞれの土地ごとにいろいろなバージョンがありますので、今その中でどういった組み合わせで、どういったところまで具体的にカバーできるか、今回示された国の基幹事業の中でもかなりの数のいろいろな事業スキームがあるので、それらで使えるものがないのかとか、細かいところも精査しながら最終的にお示しできる形に向けて作業を進めているところです。
その項目全部ということにはならないかもしれませんが、いくつかの項目の中で、個別に移る方にも支援が可能であれば、取り組んでみたいと思っています。
市の単費事業でやっていく場合、仙台市の財政総枠に対する今後の影響の度合いについては、国費で充填されるものと違い、より厳密に精査していかなければならないと思います。
それは今回の海岸地域の2400世帯の問題だけではなくて、ご承知のとおり西部地域の宅地被害について、国の3次補正事業でも適用にならない世帯というのは確実に出てきます。
いかにその割合を少なくするかということでいろいろな事業のメニューの組み合わせを考えていますが、どちらにしても単費事業の部分は出てきますので、トータルとして仙台市が被災された方々の生活再建に向けて支援をするということと、将来的にその方々がしっかりと生活を再建されて、再度市税という形で固定資産税などを納めていただけるようになるまでの間、本市の財政そのものを保持していかなければならないという、この課題のバランスの問題というのは一番大切なところだと思います。
今回の計画のそれぞれの事業費ごとの金額についても、議会でもお示ししていきたいというお話をしていますので、それらも含めてしっかりと財政についても判断をしていきたいと思います。
総事業費が、今回のシミュレーションの結果によりどのように違ってくるかについては今の時点ではなかなか出せないと思います。
というのは、災害危険区域の中でも防災集団移転にのっとった形で移転していただく方もいらっしゃいますけれども、単独で、ご自身で別の土地に移りたいという方も現にいらっしゃいますし、またいろいろな支援策の中でご自分の持ち家という形で防災集団移転事業に乗る方もいらっしゃるでしょうけれども、一方で災害復興公営住宅を希望する方もいますので、これから何回かいろいろなアンケートをやっていく中で、お気持ちが固まってくる部分が見えてきませんと、最終的にどのケースにどのくらいかかるという積算までにはならないと思います。
必ずしも2400世帯が2000世帯になったから市の負担が増えるといえるほど、そこまでの精査はできないのではないかと思います。
基本的に今回2400世帯を2000世帯とスリム化しました。自治体として災害危険区域の指定をすることは、そこにお住まいにならないようにと、いわば住むには甚だしい困難があると定める土地です。我々自治体としては、その面積は市域の中で限りなく少ないという状況、あるいは住民の方が安心して住んでいただけるように復旧していく土地が多いということが、復旧の一つの目標だろうと思っています。危険区域が広いことが、いいことだとは思えないと私自身は考えています。
まだそこまで最終的に精査をしていませんが、防災集団移転事業はかなり補助率の高い事業ですので、そこに比べると若干多くなるかなと総論としては思っています。ただ、集団で移転をされたいということが地域的、面的にある程度可能になるだけの方々の合意形成がなされれば、防災集団移転とは違った事業で支えられるような事業がないかということも検討・調査をするように指示を出しています。
負担が増えるかどうかは、一般論としては申し上げたとおりですが、それぞれの方のご事情によって変わってくると思います。
大阪都構想と政令指定都市については、私の記憶では政令指定都市を是とするアンケート結果が極めて乏しかったと、確か報道されたと思います。政令市が基礎自治体でありながら、大きな権限を持って行政を行うということは、今回の震災の時にも、私自身も感じたことですが、大変地域住民の方の利便向上に寄与すると思っています。
そういう意味では、大阪で出たアンケート結果というのは残念だと思っています。仙台市も22年ほど前に政令指定都市になったわけですが、その際には、政令市になればこういったことが起こるとか、こういった財政になるといったPRをしましたけれども、いざなってしまうと、我々職員はそのことを自覚しているものの、市民の方に向けて改めて政令指定都市だからこうですといったことを、ご説明する機会も、確かに乏しいといえば乏しかったと思います。
具体に生活の中でメリットはあるということだけれども、それをしっかりと制度論として住民の方が自覚されるほどの情報提供をこちらもしていなかったというところは、今回の大阪都に関する議論の中で我々も反省しなければいけないところだと思っています。
私自身は大阪都になることによって、大阪市が東京都の特別区のような形になるとお示しされていると理解していますが、東京都における特別区の権限は政令市よりも限られたものですので、せっかく今政令市として持っている権限を東京の区のレベルにまで下げることについて本当に大阪の住民の方々が理解されてそういう判断をされるのか、そこはもう少ししっかりと議論を深めて住民の方も認識していただく必要があるのではないかと思います。
仙台市長 奥山 恵美子
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